1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性低酸素環境への順応・適応機序.特に肺血流分布の均一化について
Project/Area Number |
08670089
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Research Institution | Tokai University School of Medicine |
Principal Investigator |
桑平 一郎 東海大学, 医学部, 助教授 (60186567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬上 喜裕 東海大学, 医学部, 助手 (60276798)
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Keywords | 慢性低酸素症 / 肺血流分布 / 順応 / 適応 / 運動負荷 / マイクロスフェア / スプラグ-・ド-リ-ラット / X線蛍光分析法 |
Research Abstract |
昨年度、慢性低酸素状態に順応したラットを対象に、安静時の肺血流分布を検討したところ、室内気吸入コントロール群と比べ肺血流分布に均一化が生じていることが判明した。すなわち、慢性低酸素暴露群では、肺門を含む中心部で高く末梢に低い中心-末梢型の肺血流分布パターンが消失していることが示された。肺血流分布が均一化することによって、肺胞気との接触面積は増大し、ガス交換効率が改善されていると考えられた。 今年度は、以上の成績に基づきさらに研究を発展させ、低酸素暴露に加えトレッドミルにより運動負荷をかけた状態、すなわち心拍出量を増大させた状態で、昨年度と同様にマイクロスフェア法でラット肺の血流分布を決定した。対象は、室内気吸入コントロール群14匹と10%の慢性低酸素暴露群14匹である。以下のように各群をさらに2群に分け、合計4群(各7匹ずつ)とし、室内気と10%低酸素下の状態で運動負荷をかけた:(1)コントロール群で室内気運動負荷(7匹)(2)コントロール群で低酸素運動負荷(7匹)(3)低酸素群で室内気運動負荷(7匹)(4)低酸素群で低酸素運動負荷(7匹)。(1)群と(3)群では、運動負荷時の肺血流分布に変化を認めなかったのに対し、(2)群と(4)群では、いずれも低酸素+運動負荷で血流分布はその不均一性が増大した。従って、低酸素性肺血管攣縮に心拍量増大が加わると、血流分布は不均一化することが示された。一方、この(2)群(4)群ともガス交換効率を示す肺胞気動脈血酸素分圧較差は運動負荷時に減少し、動脈血酸素分圧も運動時に有意な改善を示したことから、肺血流分布の変化にみあうだけの換気分布のマッチングが生じていると推定された。低酸素環境下での運動負荷時には、肺胞レベルでのガス交換は想像以上に良好に維持されており、安静時のみならず運動時にも、組織酸素加を保つよう低酸素への順応が生じていると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 桑平 一郎: "Fluorescent microsphere methodによる血流分布の測定-X線蛍光分析法による血流計測について" 日本胸部疾患学会雑誌. 35(増刊). 50 (1997)
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[Publications] 桑平 一郎: "呼吸機能の変化と肺血流分布調節" 呼吸と循環. 45. 651-657 (1997)
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[Publications] 桑平 一郎: "呼吸循環器系の順応と適応-比較生理学からみた順応と適応" 呼吸と循環. 45. 947-952 (1997)
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[Publications] 桑平 一郎: "肺循環" 救急医学. 21. 925-931 (1997)