1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
大坂 寿雅 国立健康・栄養研究所, 老人健康・栄養部, 主任研究官 (30152101)
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Keywords | キャプサイシン / 体温調節 / カテコラミン / 褐色脂肪組織 / セットポイント説 |
Research Abstract |
キャプサイシンによって誘起される熱産生と熱放散についてウレタン麻酔したラットを用いて調べた。酸素消費量を測定し熱産生量を求め、同時に熱放散の指標として尾部皮膚温、深部体温の指標として結腸温を測定した。これにより熱放散と熱産生が同時に促進することが分かった。 副腎髄質を摘出したラットではキャプサイシンにる熱産生が大きく減弱したことから副腎カテコラミンの分泌が熱産生に重要であることが分かった。ところが、このラットで熱放散は正常と同程度におきた。このことから熱産生の結果として体温降下反応である熱放散が促進されたという訳ではないことが示された。 また、自律神経節遮断薬であるヘキサメソニウムの投与と保温とによってあらかじめ熱放散を最大にしておいたラットでは、キャプサイシン投与によって熱放散量が変化しないにもかかわらず、熱産生反応は正常と同様に促進された。従って、体温が下がったために熱産生反応が起きたのでもない。 以上の結果は熱放散と熱産生とがそれぞれ独立した機構で制御されており、両者の間には相互抑制などを仮定しなくても良いことを示唆する。さらに、体温調節の生理学においては仮想上の設定温度(セットポイント)に体温が調節されるとしばしば想定されるが、本研究の結果を単一のセットポイント説で説明することは不可能であり、体温を上昇させる熱産生系と、体温を下降させる熱放散系とは独立しているということが示唆された。
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Research Products
(1 results)