1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670096
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
大坂 寿雅 国立健康・栄養研究所, 老人健康・栄養部, 主任研究官 (30152101)
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Keywords | キャプサイシン / 体温調節 / 熱産生 / 延髄腹外側部 |
Research Abstract |
キャプサイシンによる熱放散反応と熱産生反応とに脳のどの部位が重要であるのか、脳の切断・破壊実験により明らかにした。脳を視床下部と中脳との間で切断した除脳標本、頸髄をC1とC2との間で切断した脊髄ラット標本を作製し、開放式の酸素消費量測定法を用いてキャプサイシンによるラットのエネルギー代謝を測定した。同時に熱放散の指標として尾部皮膚温、深部体温の指標として結腸温を測定した。 熱放散は除脳標本で消失したことから、前脳部が重要であることが分かった。熱産生反応は頸髄離断によって消失したが、除脳によっては消失しなかった。したがって、脳幹部である中脳・橋・延髄のなかに熱産生に重要な部位があることが分かった。これらの結果から、熱産生反応と熱放散反応とは脳の中で別々の部位によって調節されていることが示唆された。 キャプサイシンによる熱産生には副腎髄質からのカテコラミンが重要である。また、副腎交感神経節前ニューロンを支配している主な部位は、吻側延髄腹外側部、延髄縫線核、延髄腹内側部、橋のA5領域、視床下部室傍核である。そこで、これらの部位を微小電気凝固したラットを用いて、キャプサイシンに対する反応を調べたところ、延髄腹外側部を破壊した標本でキャプサイシンによる熱産生反応が特異的に消失した。従ってこの部位が熱産生に重要であることが分かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A、Kobayashi,et al.: "Capsaicin activates heat loss and heat production Simultaneously and independently in rats." Am.J.Physiol.275. R92-R98 (1998)
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[Publications] T.Osaka et al.: "Temperature-and Capsaicin-seusitive nerve fibers in brown adipose tissue attenuate thermogenesis in the rat" Pflugers Arch. 437. 36-42 (1998)
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[Publications] 大坂寿雅: "キャプサイシン 体温調節への二面性" 臨床検査. 42. 695-697 (1998)