1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670097
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
富樫 廣子 北海道大学, 医学部, 講師 (20113590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 秀哉 北海道大学, 医学部, 教授 (20000929)
松本 真知子 北海道大学, 医学部, 助手 (70229574)
吉岡 充弘 北海道大学, 医学部, 助教授 (40182729)
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Keywords | 脳血管障害 / 海馬長期増強 / 脳虚血 / 一酸化窒素 / 脳内微量透析法 / ラット |
Research Abstract |
海馬シナプスでは高頻度神経刺激に対応して、持続的なシナプス伝達効率の変化がみられる。これは瞬時的な神経入力からシナプス可塑性を伴った記憶への変換を長期増強(LTP)といわれる電気生理学的現象であり、記憶・学習の生理学的基盤をなす現象と考えられている。しかしながら、従来の報告は主として脳スライス標本を用いた実験に基づくものであり、その物質的背景および記憶・学習機能との関連性を含めた体系的な研究には限界があった。我々は、記憶・学習の神経機構の解明には神経回路網が無傷なin vivoの実験において評価する必要性があるとの認識に立ち、in vivoの実験を用いた評価系の確立を計ってきた。 今回科学研究費の助成を受け、記憶形成のメカニズムを一過性脳虚血モデルラットにおけるLTP形成能を指標として電気生理学的評価に追究すると同時に、神経生化学的側面からの評価を含めた体系的な解析を試みた。特に記憶形成の物質的基盤としてその役割が注目されている一酸化窒素(NO)に注目し、一過性能虚血再開通後のLTP形成能変化との関連性を追究した。ラット海馬におけるNO産生の指標として、その酸化代謝産物であるnitriteおよびnitrateの細胞外液濃度を脳内微量透析法によって経時的および経日的に測定し、その後同一ラットについて海馬におけるLTPを記録し、両者の関連性を検討した。その結果、4血管紮再開通4日後LTP形成能の低下が観察された。それに先立ち、NO酸化代謝産物が増加し、特に再開通1日後において顕著であった。しかもLTP形成能と海馬NO酸化代謝産物濃度変化との間には負の相関が認められた。すなわち、脳虚血に伴う記憶・学習機能障害の物質的基盤としてのNO産生との関連性を直接的に示す結果が得られた。これらの成績については1997年米国薬理学会(San Diego)をはじめ国内学会において報告し、現在投稿準備中である。現在、痴呆に伴った知的機能障害の改善を目的とする薬物の評価系としての応用を試行中である。
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