1997 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病病態におけるG蛋白の機能的変化と細胞機能変調との相関
Project/Area Number |
08670098
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅野 盛夫 北海道大学, 医学部, 教授 (00109422)
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Keywords | ラット糖尿病モデル / アデニレートシクラーゼ活性 / GTP結合蛋白 / Gs蛋白 / Gi蛋白 / イムノブロッティング法 / mRNA |
Research Abstract |
前年度の研究によって、私達は糖尿病モデルラット心筋ではGs蛋白が軽度減少し、Gi蛋白が有為に減少していることをイムノブロッティング法で明らかにした。さらに、予備的ではあるが、GsおよびGi蛋白のmRNAレベルを測定した結果も記載した。今年度は確認のためにこれらの点をさらに詳細な検討をおこなった。得られた成果は次の通りである。 1)ラット心筋では、アクリルアミドゲル上のSDSPAGEによりGs蛋白は45KDa、47KDa2および52KDaの3本のバンドに分かれる。糖尿病病態にある心筋では、45KDaバンドの消失、47KDaバンドは対象正常心筋と同じ、52KDaバンドは29±7%の減少を認めた。Gs蛋白総量としては対象動物の81±8%であった。 2)Gl蛋白を検出するために用いた抗Giα抗血清はG_<11>およびG_<12>蛋白のαサブユニットを識別することが出来るが、ラット心筋では40/41KdaのG_<12>蛋白の単一バンドのみを認めた。糖尿病ラット心ではGi蛋白は有意に減少していた(対照の61±6%)。 3)糖尿病ラット心筋のGs蛋白のmRNAレベルは対照動物のそれと差は無かったが、Gi蛋白のmRNAレベルは60%減少していた。したがって、糖尿病病態ではGi蛋白mRNA転写が抑制されているか、それとも、mRNAの安定性が低下しているか、いずれかが示唆される。これが、イムノブロッティング法で観察されたG蛋白の変化を説明するものと思われる。 4)Gi蛋白機能を人為的に阻害したPTX処置ウサギ心におけるβ受容体刺激およびG蛋白刺激によるアデニレートシクラーゼ活性の変化と前年度の研究実績報告書に記載した糖尿病病態心におけるアデニレートシクラーゼ活性化反応との比較から、緊張性抑制を受容体-アデニレートシクラーゼ系に及ぼしているGi蛋白量の減少によって糖尿病病態心に観察された変化が説明されるとの結論に達した。
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