1996 Fiscal Year Annual Research Report
神経特異遺伝子の転写制御と薬物による調節-神経分化と記憶に関与する新しい転写因子
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08670109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 宗史 大阪大学, 医学部, 助教授 (30150337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 直正 大阪大学, 医学部, 教授 (40094445)
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Keywords | neuropeptide Y / enkephalin A / calmodulin / NGF / depolarization / differentiation / NDF1 / transcription |
Research Abstract |
本研究では、交感神経のCotransmitterであり、中枢神経に最も豊富にかつ特異的に発現するNPY遺伝子を用いて、シナプス可塑性における神経ペプチド遺伝子の転写活性化の制御機構の解明と、その転写制御因子の同定を、分子生物学的・薬理学的手法を用いて行った。現在、NPY及びENK神経ペプチド遺伝子プロモーター上のNGF反応エレメント(NGFRE)やCa/calmodulin-dependent kinase反応エレメント(CaRE)を同定している。これらのエレメントを含んだCATベクターやDNAアフィニティーカラムを準備し、転写実験や因子の精製に用いた。また、Southwestern法によって、神経細胞ライブラリーから転写制御因子のクローニングを行った。シナプス可塑性に関わる、神経ペプチド遺伝子の発現増加がこれらの反応エレメントを介した転写活性の増加である事と、それに関与する転写因子について興味あるデータを得た。 平成8年度には、NPY遺伝子のNGFREに結合する種々の転写因子のうち、どの転写因子がNGFによる細胞内情報伝達を伝えているのかを、CATベクターを用いた培養神経細胞での発現実験で解析した。NGFRE結合蛋白質として26kDaのカプサイシン結合核蛋白質をクローニングした。このクローニングした転写制御因子26kDa核蛋白質の発現実験を行ない、交感神経への分化制御に関与していることを見出した。この因子の活性は神経作動薬の調節を受けると思われるので、その薬物の作用メカニズムも明らかにしたい。 これらの転写因子の脳内分布を調べる実験も行っている。予備的な実験では、26kDa核蛋白質はIn situ hybridization法を用いて神経系に広範に存在することを見いだしている。免疫組織化学も行い、これらの因子の神経発生・神経活動に伴う変化を調べたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Higuchi: "Ca^<2+>/calmodulin-dependent transcriptional activation of neuro-peptide Y gene induced by membrane depolarization" J.Neurochemistry. 66. 1802-1809 (1996)
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[Publications] J.Kamegai: "Growth hormone receptor gene is expressed in neuropeptide Y neurons in hypothalamic arcuate nucleus of rats" Endocrinology. 137. 2109-2112 (1996)
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[Publications] N.Takei: "BDNF increases the expression of neuropeptide Y mRNA and promots differentiation/maturation of neuropeptide Y-positive cultured cortical neurons" Mol.Brain.Res.37. 283-289 (1996)
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[Publications] C.-H.Kim.: "Zebrafish elav/HuC homologue as a very early neuronal marker." Neurosci.Lett.216. 109-112 (1996)
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[Publications] T.Osugi: "Involvement of a single-stranded DNA binding protein,ssCRE-/Pura,in ,orphine dependence." FEBS Lett.391. 11-16 (1996)
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[Publications] H.Tanaka: "MEKA/Phosducin attenuates hydrophobicity of transducin bg subuni without binding to farnesyl moiety." Biochem.Biophys.Res.Commun.223. 587-591 (1996)
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[Publications] 樋口宗史: "「分子生物学的接近」生物学的精神医学シリーズ第11巻「薬物依存と脳障害」" 学会出版センター, 16 (1996)
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[Publications] 樋口宗史: "「神経細胞核への情報伝達と神経遺伝子発現」生物学的精神医学シリーズ第14巻「脳シグナルカスケードと精神疾患」" 学会出版センター(印刷中), (1997)