1997 Fiscal Year Annual Research Report
胃における内因性グルタミン酸の遊離と、その調節機構に関する神経薬理学的研究
Project/Area Number |
08670114
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大熊 康修 北海道大学, 薬学部, 助教授 (20127939)
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Keywords | 胃 / グルタミン酸遊離 / 高カリウム刺激 / カルシウムチャネル / 迷走神経刺激 |
Research Abstract |
本研究において、血管潅流胃嚢標本を用いて、胃からの内因性グルタミン酸遊離を指標に、この神経アミノ酸の胃における神経伝達物質としての可能性を検討した。高濃度KCl刺激(30-75mM)は用量に依存したグルタミン酸遊離を来した。このKCl刺激によるグルタミン酸遊離は外液からのカルシウム除去により消失した。迷走神経の電気刺激もまたグルタミン酸遊離を来した。この迷走神経刺激によるグルタミン酸遊離はカルシウム除去およびテトロドトキシン適用のいずれの処置でも消失した。グルタミン酸を含めて標本から遊離されるアミノ酸のうち、アミノ酸分析器により検出可能であった他のアミノ酸はタウリンを除き、いずれもKCl刺激あるいは迷走神経刺激によっても有意な変化を示さなかった。したがって、グルタミン酸は胃においてテトロドトキシン感受的およびカルシウム依存的に遊離されたことより、グルタミン酸は中枢神経のみならず胃においても神経伝達物質として働く可能性がさらに示唆された. そこで,このグルタミン酸遊離に、いずれの型の電位依存性カルシウムチャネルが関与しているかについて種々のカルシウムチャネル拮抗薬を用いて検討した。KCl刺激により惹起したグルタミン酸遊離は、カルシウムチャネルの非特異的遮断薬であるカドミウム(10^<-4>M)により著しく減少した。このKCl適用によるグルタミン酸遊離は、isradipine(L型遮断薬)(10^<-6>-10^<-5>M)、及びω-agatoxinIVA(P/Q型遮断薬)(10^<-8>-10^<-7>M)により用量依存的に抑制された。一方、flunarizine(T型遮断薬)(3×10^<-5>M)及びω-conotoxinGVIA(N型遮断薬)(10^<-7>M)では変化しなかった。さらに、isradipine(10^<-5>M)およびω-agatoxinIVA(10^<-7>M)の同時適用により、グルタミン酸遊離の抑制は増強された。しかしながら、この抑制作用の程度ははカドミウムによるグルタミン酸遊離の著明な抑制に比し,弱いものであった.以上の成績より胃のグルタミン酸遊離に関与する電位依存性カルシウムチャネルにはP/Q型及びL型の複数のチャネルタイプが存在することが明らかとなった.さらにP/Q型及びL型以外の未同定のカルシウムチャネルが胃のグルタミン酸遊離に関与することが推測された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Okuma,Y.et al: "Calcium-dependent release of endogenous glutamate from vascularly perfused rat stomach in vitro." J Neuroscience Research. 44・5. 507-511 (1996)
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[Publications] Okuma,Y.et al: "Brain prostaglandins mediate the bombesin-induced increase in plasma levels of catecholamines." Life Sciences. 59. 1217-1225 (1996)
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[Publications] Yokotani,K.et al: "Inhibition of vagally mediated gastric acid secretion by activation of central prostanoid EP3 receptors in urethane-anaesthetized rats." Br.J.Pharmacol.117. 653-656 (1996)
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[Publications] Murakami,Y.et al: "Nitric oxide mediates central activation of sympathetic outflow induced by interleukin-1β in rats.Eur.J.Pharmacol." Eur.J.Pharmacol.317. 61-66 (1996)
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[Publications] Okuma,Y.et al: "Brain histamine mediates the bombesin-induced central activation of sympathoadrenomedullary outflow." Life Sci.61. 2521-2528 (1997)
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[Publications] Okuma,Y.et al: "Properties of calcium channels coupled to endogenous glutamate release from the vascularly perfused rat stomach in vitro." Life Sci.(in press).
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[Publications] 大熊康修: "脳虚血へのグリア細胞のサイトカイン,ケモカイン,iNOS誘導応答とニューロン死" 日本薬理学雑誌, 8 (1998)