1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670120
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 慧 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50138129)
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Keywords | 発毛促進 / FK506 / rapamycin / ascomycin / calcineurin / FKBP / δ-glutamyl transpeptidase |
Research Abstract |
FK506は放線菌が産生するマクロライドでT細胞に選択的に働く免疫抑制薬として知られ手いる。我々はFK506の局所塗布によりマウス皮膚における発毛が明らかに促進される事実を見い出した。本研究の目的はFK506の局所塗布による発毛促進作用のメカニズムを明らかにし、新しい発毛促進薬開発の可能性を検討するところにある。 免疫抑制物質であるrapamycinおよびascomycinはFK506と部分的に良く似た構造を有し、FKBPとはFK506同様に結合し、そのロタマーゼ活性を抑制する。 Ascomycin-FKBPはFK506-FKBP複合体同様calcineurin(ホスファターゼの一種)を阻害するが、rapamycin-FKBPはcalcineurinを阻害しないことが知られている。そこで、ascomycin並びにrapamycinに発毛促進作用があるか否か、またFK506の発毛促進作用をこれらの物質が抑制するか否かを検討した。その結果ascomycinには弱いながらもFK506同様の発毛促進作用が認められたが、rapamycinには発毛促進作用は認められず、且つFK506やascomycinによる発毛を抑制した。一方、FK506は毛嚢活動期を誘導すると共に、その指標であるγ-glutamyl transpeptidase(GGT)活性を誘導した。 AscomycinもFK506同様にGGT活性を誘導したが、rapamycinにはその作用が認められず、且つFK506やascomycinによる誘導を抑制した。これらの結果はFK506による発毛促進作用にはFKBPとの結合が必須であり、且つFK506-FKBP複合体によるclacineurinの阻害が関与していることを示している。
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