1996 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞ATP感受性Kチャネルのチロシンキナーゼによる活性調節
Project/Area Number |
08670130
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
北村 憲司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (30112345)
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Keywords | ATP感受性Kチャネル / チロシンキナーゼ / EGF / カリウムチャネル開口薬 / 電位依存性Caチャネル / カリウムチャネル / 門脈 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
ウサギ門脈平滑筋細胞をコラゲナーゼで単離し、ピナシジルで惹起される膜電流(ATP感受性K電流:K-ATP)を記録し、チロシンキナーゼ阻害薬およびチロシンフォスファターゼの効果を観察しK-ATPチャネル活性に対するチロシンキナーゼの意義を検討した。特異的チロシンキナーゼ阻害薬であるgenisteinは濃度依存的にK-ATP電流を抑制し、そのIC50値は5.5uMであった。genisteinは同じ細胞の電位依存性Ba電流、Ca依存性K電流、電位依存性K電流に対しても抑制効果を持っていたが、そのIC50は約100uMと高かった。Na-orthovanadataはK-ATP電流の振幅を有意に増強したが、genisteineの不活性アナログであるdaidzeinは全く抑制効果を持っていなかった。EGF receptor kinaseに特異的なチロシンキナーゼであるherbimycin A,lavendustin Aやtyrphostin 23はK-ATPを抑制することはなかった。またEGF自身によっても外向き電流は惹起されたりK-ATP電流を増強する作用は認められなかった。一方、広範囲なチロシンキナーゼ阻害作用を持つtyrphostin B46(30uM)はgenisteinと同等の抑制効果を持っていた。cell-attachedやinside-out下で記録できるK-ATPチャネル電流に対してgenisteinはsingle channel電流の振幅を変えることなく平均開口時間を減少させた。以上の結果からウサギ門脈においてピナシジルで誘発されるK-ATP電流はその活性化の過程でチロシンキナーゼによる調節を受けている可能性が強く示唆された。チロシンキナーゼの種類については分からないが、EGF receptorに関連するキナーゼでないと考えられる。また、inside-out下でもenisteinの抑制作用が記録できることから、K-ATPチャネル活性に関与するチロシンキナーゼは細胞膜ないし膜直下に存在する可能性が高いと考えられた。
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