1996 Fiscal Year Annual Research Report
アンチザイムとアンチザイムインヒビターによるポリアミン調節機構の分子進化学的解析
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08670156
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
村上 安子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30056709)
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Keywords | オルニチン脱炭酸酵素 / アンチザイムインヒビター / アンチザイム / ポリアミン / 分子進化 / プロテアソーム / cDNAクローニング / 染色体マッピング |
Research Abstract |
哺乳動物細胞ではポリアミンの細胞内過剰蓄積は、ポリアミンによって誘導される蛋白質、アンチザイム(AZ)によるオルニチン脱炭酸酵素(ODC)分解亢進とポリアミンの取り込み抑制によって防御されている。他方、AZを阻害する蛋白質アンチザイムインヒビター(AIn)はポリアミンの迅速な供給を可能にすると推定される。本研究ではAZとAInを介する細胞内ポリアミンの調節機構の発現を分子進化学的に解析することを目的とする。 成果:1.昆虫細胞におけるODC分解とその調節機構の解析:ポリアミンはODC誘導を抑制し、AZ様のODC阻害蛋白質を誘導し,既存のODCの消失を加速した。これらから昆虫細胞にもAZを介するポリアミンの調節機構が存在することが示唆された。2.魚のAZcDNAのクローニング:カエルのAZcDNAをプローブとして、ゼブラフイシュのcDNAライブラリーから、2種の異なる配列のクローンを得た。これらはいずれもカエルAZの核酸とアミノ酸の配列に約70%の相同性を示した。現在、蛋白の発現と機能を検討中である。3.AInの発現:ヒト腎臓のcDNAライブラリーからAInのcDNAをクローニングした。ラットのAInの核酸とアミノ酸の配列のいずれにも92%の高い相同性を示した。なお、ラットからは2種のcDNAが単離されていたが、未確定であった長い方の配列を確定し、両者はalternative splicingによって生じたと推定された。4.ヒトAZの染色体マッピング:ヒトAZ遺伝子をクローン化し、AZ遺伝子は第19番染色体短腕バンド13.3に局在することを明らかにした。5.酵母とラットのODC分解系の比較:酵母の26Sプロテアソーム分画はラットのODCをエネルギー依存的に分解した。しかし、AZは分解を阻害することから、酵母とラットの26SプロテアソームによるODC分解機構が異なっている可能性が示唆され、ユビキチン経路の関与も含めて今後の解析が必要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Murakami: "Cloning of antizyme inhibitor,a highly homologous protein to ornithine decarboxylase" J.Biol.Chem.271・7. 3340-3342 (1996)
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[Publications] Y.Murakami: "Proteasome pathway is operating in intact cells." Biochem.J.317-1. 77-80 (1996)
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[Publications] S.Matsufuji: "Assignment of the human antizyme gene (OAZ) to chromosome 19p13.3 by fluorescence in situ hybridization" Genomics. 38.1. 102-104 (1996)
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[Publications] K.Koguchi: "Involvement of antizyme-like regulatory protein in polyamine-caused repression of ornithine decarboxylase in insect-derived Trichoplusia ni 5 cells" Biochim.Biphys.Acta. (in press).