1997 Fiscal Year Annual Research Report
Ca2+非依存性ホスホリパーゼA2によるリン脂質リモデリングの制御機構
Project/Area Number |
08670173
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東城 博雅 大阪大学, 医学部, 助教授 (90135707)
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Keywords | ホスホリパーゼA / リン脂質 / ホスホリパーゼB / リパーゼ / 部位特異変位法 |
Research Abstract |
1、ラット精巣のホスホリパーゼAの精製をさらにすすめた。イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過、イオン交換HPLCの各ステップで酸性リン脂質に特異性の高いPLA活性とリパーゼ活性がおなじ分画に溶出した。小腸ホスホリパーゼB/リパーゼ(PLB/LIP)も単一酵素でホスホリパーゼA2活性とリパーゼ活性を持つがりん脂質の極性基に対する基質特異性は広く酸性りん脂質に特異性がない点で精巣酵素と異なっていた。さらにゲルろ過から推定される分子量(〜4万)や免疫化学的特異性でも異なっていた。ホスファチジン酸などの酸性リン脂質に特異性が高いPLA活性とリパーゼ活性を併せ持つ酵素はこれまでに報告されていない。今後、完全精製酵素を用いて基質特異性の確認と本酵素のリン脂質リモデリング、情報伝達系における役割を追求して行きたい。 2、ヒト精子のPLB/LIPの機能を探るためその免疫組織化学的分布を調べ、また特異的非可逆的阻害剤を用いた阻害実験を行った。 3、ラット精巣PLAとその酵素化学的性質を比較するため前年度に引き続きPLB/LIPの反応機構を部位特異変位法と親和標識法により解析した。前年度の結果からPLB/LIPは活性セリンを活性ドメインのN末端側に位置するGly-Asp-Ser-Leuのモチーフ内にもつ新しいリパーゼファミリーに属する酵素であることが分かった。本年度はSerの機能をサポートするcatalytic triadの他の2残基HisとAspの同定をした。変異酵素はCOS-7細胞とY-1細胞発現系を用いて作成し発現効率の良い変異体は精製標品を用いて解析した。非可逆的阻害剤とPLB/LIPの反応を速度論的に詳しく解析し、さらに阻害剤でラベルされるアミノ酸残基を質量分析法によって確認した。 4、小腸PLB/LIPの大量発現系をバキュロウイルスを用いて作成した。発現酵素は新たに開発した2ステップ法により効率良く精製した。3、で述べた部位特異変位法によるPLB/LIPの反応機構解析を精製酵素を用いてさらに発展差せている。また結晶解析に適した結晶の作成を開始した。
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[Publications] Tojo,H.: "Purification and characterization of a catalytic domain of rat intestinal phospholipase B/lipase associated with brush border membranes" J.Biol.Chem.273. 2214-2221 (1998)
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[Publications] Takemori,H.: "Identification of functional domains of rat intestinal phospholipase B/lipase. Its cloning,expression,and tissue distribution" J.Biol.Chem.273. 2222-2231 (1998)
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[Publications] Wada,A.: "Group II phospholipase A2 as an autocrine growth factor mediating interleukin-1 action on mesangial cells" Biochim.Biophys.Acta. 1345. 99-108 (1997)
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[Publications] Minami,T.: "Phospholipase A2 stimulates rat gastric epithelial cell line(RGM-1)" Inflamm.Res.46. 103-107 (1997)