1996 Fiscal Year Annual Research Report
人TSH受容体発現のmRNAおよび蛋白レベルでの形態学的ならびに生化学的研究
Project/Area Number |
08670196
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
水上 勇治 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (60110540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道岸 隆敏 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (60020012)
|
Keywords | TSH受容体 / 甲状腺 / thyroglobulin / peroxidase / 免疫組織化学 / in situ hybridization |
Research Abstract |
まず各種甲状腺疾患組織におけるTSH受容体の局在,分布に関する免疫組織化学的検討を行った結果,TSH受容体は甲状腺濾胞細胞の基底側細胞膜に存在し,その蛋白量は甲状腺腺腫,癌で正常甲状腺に比し増加し,さらにGraves病甲状腺では極めて増加していることが明かとなった.次に甲状腺濾胞細胞のspecific function markerであるthyroid peroxidase (TPO) およびthyroglobulinの免疫組織化学染色および定量化を行い,TSH受容体発現と甲状腺機能との関連性を検討した.その結果Graves病甲状腺ではTSH受容体、TPO、thyroglobulinはほぼ平行して発現の増加が認められた。これに対し甲状腺癌ではTSH受容体の発現が増加するにもかかわらず、TPO、thyroglobulinの発現は極めて低下しており、TSH受容体機構と蛋白合成との間に解離が認められた。しかし、甲状腺癌でも低分化傾向を示す例、また未分化癌ではTSH受容体、TPO、thyroglobulinいづれの発現も極めて低下〜消失しており、甲状腺癌におけるこれら三者の発現と細胞の分化度との間に密接な関連性が認められた。 TSH受容体、TPO、thyroglobulinの各種甲状腺疾患組織による発現の免疫組織化学的研究は予定通り進み、期待した成果が得られたものと考えている。現在組織ホモジネートを用いTSH受容体のnorthern blotおよび凍結切片を用いたTSH受容体のin situ hybridizationを試みているが、in situ hybridizationはアイソトープ標識が困難でまだ予備実験段階である。またnorthern blotによるmRNAの定量は現在症例数を追加中である。
|