1997 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚部扁平上皮癌の発生・進展におけるRB-E2F系の関与
Project/Area Number |
08670197
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 功夫 金沢大学, 医学部・医学科, 教授 (00019556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 惠夫 金沢大学, 医学部・医学科, 講師 (70169316)
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Keywords | 扁平上皮癌 / HPV / RB-E2F |
Research Abstract |
子宮頚部浸潤性上皮癌24症例を検索した。 1.HPV E7遺伝子の検索 癌組織からDNAを抽出した後、E6遺伝子やE7遺伝子を含む領域のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR法を施行し、HPV16、18型の感染の有無とE7遺伝子の組み込み率を検索した。24症例のうち、HPV16型は21症例(87.5%)内71.4%にE7遺伝子をまた18型は3症例(12.5%)、内2症例にE7遺伝子を検出した。 2.RB癌抑制遺伝子蛋白の検出 免疫組織化学染色についてRB癌抑制遺伝子蛋白の検出を行った。HPV16型E7遺伝子が組み込まれていた15例中13症例(86.6%)に、RB蛋白が検出され、HPV18型 E7遺伝子が組み込まれていた2症例中1症例(50.0%)に、RB蛋白を検出した。一方、HPV16型 E7遺伝子が検出されなかった6症例中2症例(33.3%)と、HPV18型 E7遺伝子が検出されなかった1例が、RB蛋白陰性であった。HPVE7遺伝子感染例と非感染例の間で、RB蛋白の表出に有意差は認められなかった。 3.E2F-1のmRNAの量的変化の検索 肺扁平上皮癌(RB蛋白に異常のない11症例)およびそれに対応する非腫瘍性組織の新鮮材料を用いて、E2F-1の発現を検索した。新鮮材料よりmRNAを抽出し、Quantitative RT-PCR法にてE2F-1のmRNAを定量した。癌部のE2F-1 mRNAは1.0〜10.0(5.3±3.8)fg/ng total mRNAであった。そのうちの5症例は9.0〜10.0(9.2±0.5)fg/ng total mRNAであり、非癌部(0.6〜2.4fg/ng total mRNA,1.2±0.5)に比べ有意に高値であった(P<0.001)。従って、E2F-1発現調節機構の異常によるE2F-1の過剰産生も扁平上皮癌の進展に関与している可能性が示唆された。
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