1996 Fiscal Year Annual Research Report
膵腫瘍にみられるアポトーシス等の退行性病変と悪性化因子についての形態学的検討
Project/Area Number |
08670218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
諸星 利男 昭和大学, 医学部, 教授 (10102378)
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Keywords | 膵腫瘍 / 悪性度 / 予後因子 / アポトーシス / TUNEL法 / 増殖能 |
Research Abstract |
膵癌は一般に極めて悪性度の高い腫瘍であるが、SC腫瘍、膵管内乳頭腫瘍、膵内分泌腫瘍等良好な経過をとる腫瘍も少なくない。また膵管内乳頭腫瘍や膵粘膜曩胞性腫瘍のようにadenoma-carcinoma sequenceが示唆される腫瘍も存在する。これらの事実は膵腫瘍の悪性度や予後判定には通常の診断に加えて、分子生物学的側面よりアポトーシスが増殖能等の因子について検索を行なう必要があると思われる。 各種膵腫瘍合計69例について光顕的、電顕的および免疫組織化学的方法を利用して形態学的な側面から検討を加えた。アポトーシスの検索についてはTUNEL法を利用し検討を行なった。増殖能を検索する目的でPCNA陽性率、核分裂像およびKi-67陽性率を参考とした。 光顕的に壊死性病変は通常型膵管癌、悪性内分泌腫瘍、腺房細胞癌およびSC腫瘍に比較的大量に認められた。TUNEL法によるアポトーシスの出現はかなり低く、弱陽性例を含めて膵腫瘍全体の20%程度に認められた。特にSC腫瘍では出現率が高く75%に確認された。次いで浸潤性膵管内乳頭腺癌や通常膵管癌症例に比較的多く認められた。膵内分泌腫瘍に関してはやや良性腫瘍に強く認められる傾向が認められた。電顕的にも一部膵腫瘍にアポトーシス小体を認めることができたが、特にSC腫瘍では頻繁に認める事ができた。すなわちSC腫瘍にみられる大量の壊死性病変はアポトーシスによる可能性が強く示唆された。 各腫瘍における細胞核分裂像出現率やPCNA陽性率は悪性度とよく比例して認められた。PCNA陽性率は特に通常型膵管癌に高く、次いで腺房細胞癌や浸潤型の膵管内乳頭腺癌、更に膵芽腫の順であった。非浸潤性膵管癌や膵管内乳頭腫瘍、悪性膵内分泌腫瘍、およびSC腫瘍症例におけるPCNA陽性率は比較的低く、同程度の値を示した。 以上の如く増殖能と悪性度との間には関連性が強く示唆された。しかし悪性度および増殖能とアポトーシスとの関連性はむしろ低いと考えられ、また膵腫瘍全体からみると悪性度とアポトーシス出現の関連性を強く示唆する所見は乏しいと思われる。 各種膵腫瘍に認められるアポトーシスの意義については今後さらに検討を加える必要があると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 諸星利男: "病理学的立場からみた膵内分泌腫瘍" 胆と膵. 17・1. 15-20 (1996)
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[Publications] 国村利明: "粘液産生膵癌の1剖検例" 日臨細胞誌. 35・4. 315-320 (1996)
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[Publications] 国村利明: "悪性膵内分泌腫瘍の1切除例-擦過塗沫細胞標本の免疫細胞学的検索と合せて" 日臨細胞誌. 36・1. 49-55 (1997)
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[Publications] 諸星利男: "曩胞性膵疾患の病理" 消化器内視鏡. 9・1. 25-30 (1997)
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[Publications] 諸星利男: "消化器病学用語集" 金原出版, (1996)