1998 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-I流行地域におけるT細胞性リンパ種におけるウイルスの遺伝子学的関与
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08670228
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
大島 孝一 福岡大学, 医学部, 助教授 (50203766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 昌弘 福岡大学, 医学部, 教授 (80078774)
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Keywords | ATLL / HTLV-I / 染色体異常 / プロウイルス / 組み込み |
Research Abstract |
Adult T-cell leukemia/lynlphoma(ATLL)は、一般的にmature helper(CD4)のTリンバ球由来の腫瘍で、human T-cell lymphotrophic virus type-1(HTLV-I)がATLLの原因ウイルスと考えられている。レトロウイルスであるHTLV-Iは感染後、ヒト遺伝子に、ランダムに組み込まれると考えられており、腫瘍化した後には、ATLL(くすぶり型、慢性型、急性型を含めて)では、クローナルな、プロウイルスの組み込みが見られる。またほとんどの症例で、クローナルな染色体の異常が見られる、しかしながら、この染色体異常は一般的に、数、核型においても複雑で、共通した核型の異常は報告されていない。今回、我々は、HTLV-の組み込み部位が、本当にランダムであるか、また組み込まれた染色体部位と、染色体異常に関連があるかを検索した。(方法、症例〉18例のATLLについて検索をおこなった。この18例は、くすぶり型1例、慢性型2例、急性型15例よりなる。抽出DNAを用い、Inverse-PCRをおこない、プロウイルスの組み込まれた周囲のヒト遺伝子を増幅した後、この増幅されたDNAをプローブとして、正常核型に対してFISHを行った。(結果、考察)18例中4例で、9番目の染色体への組み込みが見られ、1番目、10番目への組み込みがそれぞれ3例ずつ見られたが、他の症例はばらばらの部位に組み込まれていた。また染色体上の組み込み部位に共通性はなく、組み込み部位はランダムであることが確認された。15例の急性型ATLLは複雑な染色体異常が見られた。また慢性型1例、くすぶり型1例では単純な異常が見られ、慢性型1例では正常核型であった。18例中15例で、HTLV-Iの組み込みのある染色体は異常が見られた。とくに単純な染色体異常しかない症例2例では、HTLV-Iの組み込みは、この単純な異常をしめず染色体に組み込みが見られ、正常の染色体には組み込みは見られなかった。以上のことより、HTLV-I組み込みと染色体異常に関連がみられる傾向があり、ATLLの多段階発癌において、HTLV-Iの組み込みが染色体の不安定性を増強することで関与する可能性が推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ohshima,K., Ohgami,A., Matsuoka,M,. et.al.: "Random integration of HTLV-I provirus: increasing chromosomal instability." Cancer Letters. 132. 203-212 (1998)
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[Publications] Ohshima,K.,Shimazaki,K.,Suzumiya,J., et al.: "Nodal T-cell lymphoma in an HTLV-I-endemic area: proviral HTLV-I DNA, histological classification and clinical evaluation." Brit. J. Haematol.101. 703-711 (1998)
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[Publications] Ohshima,K.,Suzumiya,J.,Kato,A.,et al.: "Clonal HTLV-I-infected CD4+ T-lymphocytes and non-clonal non-HTLV-I-infected giant cells in incipient ATLL with Hodgkin-like histologic features." Int. J. Cancer. 72. 592-598 (1997)