1996 Fiscal Year Annual Research Report
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08670254
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
円山 英昭 高知医科大学, 医学部, 教授 (00034645)
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Keywords | 肝臓 / 線維化 / 伊東細胞 / 筋線維芽細胞 / TGF-β1 / 細胞培養 / 形質転換 / α-平滑筋アクチン |
Research Abstract |
(1).実験的肝線維化では、ラット肝のみならず、マウス肝においても、肝細胞壊死部に生じた線維化巣(主にC-C bridging fibrosisの形状を示す)にはα-平滑筋アクチン(ASMA)陽性の間質細胞の腫大、増生が目立つ。このASMA陽性細胞は経時的観察およびその微細構造学的特徴から、肝細胞壊死部の活性化あるいは筋線維芽細胞(MF)化した伊東細胞であることを実証した。(2).線維化の際の1つのkey eventである伊東細胞のMF化と同様な現象は、胎生末期に肝類洞壁の鍍銀線維が増量し、成人肝組織以上に密な格子構造が形成される時期の伊東細胞でも観察され(fetal myofibroblastic transformationと命名)、線維化の際の伊東細胞のMFの機序やその意義を考察する上で重要な知見を提供した。(3).肝線維化巣では初期には局所に浸潤したリンパ球様細胞、ついで類洞壁の細胞がTGF-β1で染色され、線維化の進展とパラクリンおよびオートクリン分泌されたTGF-β1との関連が強く示唆された。(4).伊東細胞のMF化機序を観察するために、ラット肝をpronase,collagenaseで消化潅流し、nycodenz比重遠心法により伊東細胞を分離し(河田法)、採取後7日までの培養に成功した。 今回の研究により、以上のような知見や成果が得られたが、今後の課題あるいは研究目標としては; 1.線維化巣内のTGF-β1陽性細胞は、in situ hybridization(ISH)の知識と技術をさらに習熟し、TGF-β1mRNAのシグナルを発現する細胞としてその増減や動態を観察する。さらに電顕ISH法を新開発し、細胞の同定をより確実に行う。 2.肝線維化の制御に関しては、今回の研究で確立した伊東細胞の分離・培養法を用いて、in vitro studyにより検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 円山英昭: "急性および慢性心不全患者剖検肝組織における伊東細胞の反応" 肝類洞壁細胞研究の進歩. 8巻. 203-207 (1996)
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[Publications] 円山英昭: "肝線維化と肝硬変" 臨床医. 22巻・4号. 74-76 (1996)
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[Publications] 円山英昭: "肝類洞壁の伊東細胞" 日本網内系学会会誌. 36巻・3号. 177-185 (1996)
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[Publications] 円山英昭: "肝病理組織学の基本用語" 肝胆膵. 33巻・4号. 475-482 (1996)
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[Publications] 円山英昭: "病理学キーワード'97 伊東細胞,肝線維化" 病理と臨床. 15巻(臨時増刊号)(校正-終了). (1997)
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[Publications] Hideaki Enzan: "Development of hepatic sinusoidal structure with special reference to the Ito cells" Microscopy Research and Technique. (9月頃特集号として上梓予定). (1997)
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[Publications] 円山英昭: "肝臓病学〔(共著);分担項目:肝類洞壁細胞〕" 医学書院(初校終了), (1997)