1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子標識マウスによるRasタンパク質の局在と生理機能の解析
Project/Area Number |
08670255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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Keywords | H-ras / ras群遺伝子 / ES細胞 / 標的遺伝子置換 / mycタグ / ジーンターゲッティング / 胞内シグナル伝達 / マウス |
Research Abstract |
我々は、Rasタンパク質の生理機能を解析する目的で、H-ras,K-ras,N-ras遺伝子それぞれを、ジーンターゲッティング法によって欠損させたマウスの作成を行ない成功した。H-ras遺伝子ホモ型欠損マウスは、巨視的な異常は観察されず正常に発育した。しかし、巨視的には発見し難い異常が存在する可能性があり、さらにH-Rasが強く発現している組織の形態や機能異常の有無を調べる必要が生じた。H-Rasタンパク質に対する組織化学的に有効な抗体が存在しないために、組織での発現の局在性を検出することが難しい。そこで本研究において、我々が開発した標的遺伝子を種々の遺伝子に自由に置き換える方法(標的遺伝子置換法)を用いて、マウスH-Ras p21の一部にmycタグ(10アミノ酸)を付加したマウス個体の作成を目標とした。 ES細胞に2段階の遺伝子操作を施し、H-ras遺伝子にmycタグを負荷した。第1段階のジーンターゲッティングは、選択遺伝子としてNeo遺伝子+Eco-gpt遺伝子を用い、H-Ras遺伝子のφ〜第3エクソンを欠失したES細胞を作成した。つづいて、このH-ras遺伝子欠損ES細胞を用いて、第2段階目のジーンターゲッティングを行ない、本研究の目的である正常H-ras遺伝子へmycタグを付加したマウスES細胞を作成し、成功した。それぞれマウス胚盤胞に注入し、キメラマウスを得た。さらにキメラマウスを通して、ES細胞由来の変異個体を得た。本研究にとって最も重要なステップは、ES細胞にmycタグを付加した正常H-ras遺伝子が導入され、しかも、そのmycタグを付加したマウスの子孫が得られることである。この目標は、100%達成することができた。 今後、得られたH-Ras-mycタグ付きのマウスを使用して、すでに存在する組織化学的に有効なmycタグに対する抗体を用いて組織細胞での局在の検討を行なう。また、H-ras-mycタグ標識マウスからは、生理的条件での細胞内シグナル伝達経路の情報が得られるものと期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamaguchi,H.,et al.: "Dopamine D2 receptor plays a critical role in cell proliferation and proopiomelanocortin expression in the pituitary." Genes to Cells. 1. 253-268 (1996)
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[Publications] Tokita,Y.,et al.: "Characterization of excitatory amino acid neurotoxicity in N-methyl-D-aspartate receptor-deficient mouse cortical neuronal cells." Eur J Neurosci. 8. 69-78 (1996)
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[Publications] Kadotani,H.,et al.: "Motor discoordination results from combined gene disruption of the NMDA receptor NR2A and NR2C subunits,but not from single disruption of the NR2A or NR2C subunits." J Neurosci. 16. 7859-7867 (1996)
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[Publications] Yokoi,M.,et al.: "Impariment of hippocampal mossy fiber LTD in mice lacking mGluR2." Science. 273. 645-647 (1996)
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[Publications] Kitamoto,T.,et al.: "Humanized prion protein knock-in by Cre-induced site-specific recombination in the mouse." Biochem.Biophys.Res.Commun.222. 742-747 (1996)
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[Publications] Tsuzuki,T.,et al.: "Targeting disruption of the DNA repair methyltransferase gene renders mice hypersensitive to alkylating agent." Carcinogenesis. 17. 1215-1220 (1996)