1996 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞のin vitro分化系を用いたギャップ結合コミュニケーションの機能解析
Project/Area Number |
08670259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小山田 正人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30183255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 ゆみ子 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40231245)
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Keywords | 細胞間コミュニケーション / ギャップ結合 / コネキシン / 心筋細胞 / ES細胞 / マイクロインジェクション / 細胞分化 / 心臓の発達 |
Research Abstract |
1.Embryonic stem(ES)細胞の心筋細胞へのin vitro分化モデルの確立 ES細胞株(J1)を3日間浮遊培養し、形成されたembryoid body(EB)をmultiwell dishに移す方法により、培養開始後7日目に約20%のEBに拍動が出現し、9日目には84%のEBに拍動が認められた。Fotonic sensorによる解析で拍動している心筋細胞集団では、同期性収縮が起こっていることが確認された。 2.RT-PCRによる心筋分化過程における遺伝子発現の解析 心筋特異的蛋白質であるmyosin heavy chain(MHC)_α及び_βcardiac isoformやmyosin light chain(MLC)-2vは、拍動する心筋細胞の出現と一致して、発現が見られた。心臓で発現するギャップ結合蛋白質connexin(Cx)であるCx43,Cx40,Cx45のうち、Cx43とCx45はES細胞の未分化な時期から心筋細胞への分化する過程を通じて発現が認められた。一方、Cx40の発現は心筋特異的蛋白質と同様に心筋細胞の出現以降にみられ、心筋で発現しているCxでもその種類によって異なった発現調整が行われていることが明らかにされた。蛍光抗体法により、Cx43蛋白質の局在は、MHCを発現している心筋細胞のみならず、MHCを発現していない非心筋細胞にも観察された。 3.Lucifer Yellowのマイクロインジェクションによるギャップ結合細胞間コミュニケーション能の解析 細胞間のコミュニケーションは、未分化ES細胞間、拍動する前のEBの細胞間、拍動しているES細胞由来の心筋細胞間で認められた。しかし、拍動している心筋細胞と周囲の拍動していない細胞間には、コミュニケーションは認められず、未分化ES細胞が心筋細胞に分化する過程においた、細胞間コミュニケーションのコンパートメント形成が起こることを明らかにした。 以上より、Cx40の発現が心筋の初期分化に密接に関係していることが示唆された。これらの結果は、Oyamada Yet al.Exp.Cell Res.229:318-326(1996)として発表された。
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[Publications] Oyamada,Y.,Oyamada,M.et al.: "Differential regulation of gap junction protein (connexin) genes during cardiomyocytic differentiation of mouse embryonic stem cells in vitro." Exp.Cell Res.229・2. 318-326 (1996)
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[Publications] Oyamada,M.et al.: "Changes in the expression of connexin genes and gap junctional intercellular communication during cardiomyocytic differentiation of ES cells in vitro." Mol.Biol.Cell. 7・supl.462a (1996)
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[Publications] 小山田正人、他: "Mind the gap junction-コネキシン遺伝子,単一チェネルからギャップ結合チャネル病まで-" 実験医学. 14・17. 2361-2368 (1996)
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[Publications] 小山田正人、他: "ギャップ結合蛋白質(コネキシン)と腫瘍の悪性化" 細胞. 28・7. 255-259 (1996)