1996 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄多能性造血幹細胞からのB細胞分化と環境要因に関する研究
Project/Area Number |
08670264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (70115947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 喜久弥 関西医科大学, 医学部, 助手 (30171143)
比舎 弘子 関西医科大学, 医学部, 助手 (90151422)
土岐 純子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40077681)
安水 良知 関西医科大学, 医学部, 講師 (00142753)
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Keywords | B細胞分化 / 骨髄多能性造血幹細胞 / ストローマ細胞 / 胸腺 / 環境要因 |
Research Abstract |
生体内において胸腺B細胞は分布域、表面抗原、その生理機能などにおいて特異な亜集団を形成している。しかしながら、現在なところ胸腺B細胞の分化過程は未だ明らかにされておらず、どのような環境要因(種々の造血因子またはストローマ細胞)が働いているかも不明である。さらに、分化過程、分化環境との関連において従来のCD5陽性B細胞、通常B細胞との間にどのような異同があるかも不明である。これらのことを明らかにするため、本年度は1.胸腺内における前駆B細胞の存在とその性状解析、および、2.分化過程における環境要因の解析を行った。 1.胸腺内には表面Ig陰性/B220弱陽性/CD43陽性の細胞が少数個存在し(全胸腺細胞の0.5%程度)、D-JのみならずにD-JのIg遺伝子再構成が認められることから、前駆B細胞であることが想定された。実際、この細胞を精製し、胸腺内に投与したところ、表面Ig陽性/B220陽性/CD43陰性の成熟B細胞の出現を認め(IgMアロタイプの異なるマウスの組み合わせによりドナー由来であることを確認)、胸腺中に前駆B細胞が存在することが確認された。 2.胸腺より精製した表面Ig陰性/B220弱陽性/CD43陽性前駆B細胞をあらかじめ用意した種々のストローマ細胞の上で培養し、さらにいくつかの造血関連サイトカインの影響を検討した。骨髄より調製したストローマ細胞上では、SCF、IL-7の存在下でも、胸腺由来前駆B細胞からの分化は認められなかった。一方、胸腺由来ストローマ細胞を用いた場合にはIL-7の存在下で表面Ig陽性成熟B細胞の出現が観察され、この中にはCD5陽性B細胞も含まれていた。また、我々の系においては胸腺由来ナ-ス細胞株(TNC)や上皮細胞株(TEC)上でのB細胞分化は観察されなかった。従って、胸腺B細胞の分化は胸腺環境により規定され、また、胸腺内で分化したB細胞は末梢に移動しないことを考えると、胸腺B細胞は分化過程においても独自の亜集団を形成していることが想定された。
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[Publications] N.Nishio: "Changes in markers, reoeptors and adhesion molecules expressed on hemopoietic stem cells after a single irrjection of 5-fluorouracil." Stem cells. 14. 584-591 (1996)
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[Publications] A.Sugihara: "Expression of CD45-restricted form B in (NZW x BXSB) F1 and MRL/Mp-lpr/lpr mice." Autoimmunity. 24. 237-246 (1996)
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[Publications] H.Doi: "Pluripotent hemopoietic stem cells are c-kit^<<low>." Proc. Natl. Acad. Sci. (USA). (in press). (1997)
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[Publications] S.Mori: "Presence of B cell progenitor in the thymus." J. Immunol.(in press). (1997)