1996 Fiscal Year Annual Research Report
蠕虫感染防御に関与するIgE産生量規定遺伝子の解析
Project/Area Number |
08670292
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡辺 直煕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (00057019)
|
Keywords | IgE / マウス / 蠕虫感染 / アトピー / 旋毛虫 / IgE産生量規定遺伝子 / 感染防御 / 交配実験 |
Research Abstract |
本研究は、蠕虫感染におけるIgE依存性の感染防御能とIgE産生量規定遺伝子に支配されるIgE産生能との関係を検討し、さらにその遺伝子座を決定することで、蠕虫感染防御能に関わる遺伝子としてのIgE産生量規定遺伝子の性質を明らかにすることを目的として行われた。第一の実験系は我々がさきに明らかにしたIgE産生量規定遺伝子の支配下にIgE高応答性(BALB/c)と低応答性(SJL)とされるマウスの交配によってもどし交配世代(N2)マウスを得て、旋毛虫を感染させるものである。感染後の総IgE値および特異IgE抗体価についてN2マウスの各個体は高応答性または低応答性となり、その個体数の比は1:1に分離し、単一遺伝子支配が確認された。また、IgE高応答性N2マウスでは旋毛虫に対する感染防御能が低応答性に比し有意に強いことが判明し、IgE産生量が蠕虫感染防御に影響することが示唆された。第二の実験系では、NC/Ngaマウスがアトピー性皮膚炎様の症状を自然発症することを見いだした。NC/Ngaマウスは加令とともに皮膚症状の発現と著しい高IgEを示し、そのIgE値は正常マウスの500倍にも達する。この高IgEの原因は皮膚の肥満細胞からのIL4に依存することが示唆された。NC/NgaマウスのIgE産生亢進は、SPF条件下ではみられず、環境因子によって誘導されるが、その抗原を特定することはできなかった。このIgE産生制御はIgEクラスに限定され抗原非特異的であることから新しいIgE産生量規定遺伝子の存在が考えられる。現在このIgE産生系について交配実験により遺伝子を解析中である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 渡辺直煕: "寄生虫感染防御におけるIgE." アレルギー科. 1. 535-539 (1996)
-
[Publications] Korenaga,M.: "Acceleration of IgE responses by treatment with recombinant interleukin-3 prior to infection with Trichinella spiralis in mice." Immunology. 87. 642-646 (1996)
-
[Publications] Hamada,A.: "Nerve growth factor enhances survival and cytotoxic activity of human eosinophils." Brit J Haematol. 93. 299-302 (1996)
-
[Publications] Watanabe,N.: "Brugia malayi infection in mice with selective suppression of IgE production." Int Arch Allergy Immunol. 109. 192-196 (1996)
-
[Publications] 渡辺直煕: "IgE抗体の産生調節機構" 医学のあゆみ. 180. 3-6 (1997)
-
[Publications] Matsuda,H.: "Development of atopic dermatitis with IgE hyperproduction in NC/Nga mice." Int.Immunol.(in press). (1997)