1996 Fiscal Year Annual Research Report
ツツガムシ種とツツガムシ病リケッチアの血清型の関係に関する研究
Project/Area Number |
08670293
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
浦上 弘 新潟薬科大学, 薬学部, 助教授 (80139732)
|
Keywords | 恙虫病リケッチア / ツツガムシ / 細胞内共生 / 血清型 / Orientia tsutsugamushi |
Research Abstract |
本年度はツツガムシ、もしくは寄生ツツガムシが限定された野鼠よりリケッチアを分離することに主眼をおいて調査を行った。 1、新潟県内で採集したアラトツツガムシの未吸着幼虫146匹よりリケッチアの分離を試み、Karp型のリケッチア1株の分離に成功した。日本での恙虫病の主要な媒介種とされているフトゲ、タテ、アカツツガムシの3種以外からの分離例は少なく、アラトからの分離は過去に報告が1例あるのみで、未吸着幼虫からの分離は初めてである。 2、上記の主要媒介3種の棲息が確認されていない北海道野幌地区で野鼠59匹を捕獲し、その脾臓よりGilliam型のリケッチア3株を分離した。同地区にはカワムラ、アラト、ホッコクツツガムシの生息域であり、分離リケッチアはこれらのいずれかに由来するものと推測される。 3、京都府岩滝で捕獲した野鼠より得た吸着中のフトゲツツガムシを再びマウスに吸着させたところ、マウスが発症し、これよりGilliam型のリケッチアを分離した。、また、同地区で捕獲した野鼠より得たフトゲの満腹幼虫を個別飼育し、産卵後その卵のリケッチア保有を蛍光抗体法で調べたところ、3個体の雌の産んだ卵にリケッチアを認めた。現在リケッチア保有のフトゲの系統を確立すべく飼育を続けている。 4、富士山麓でタテツツガムシの未吸着幼虫を約8000匹採集し、それらを免疫抑制剤を投与したマウスに接種し、リケッチアの分離を試みたが不成功に終わった。 上記の5分離株についてモノクローナル抗体に対する反応性、型特異的抗原蛋白遺伝子のRFLP解析を行っており、これによりツツガムシ種とそれに共生するリケッチアの血清型との関係に新たな知見が得られるものと期待する。
|