1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670316
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
檀原 宏文 北里大学, 薬学部, 教授 (40114558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 貴敏 北里大学, 薬学部, 助手 (40280622)
長井 正昭 北里大学, 薬学部, 助手 (10198294)
関矢 加智子 北里大学, 薬学部, 講師 (30050579)
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Keywords | サルモネラ / サルモネラ症 / Salmonella Choleraesuis / 平滑筋細胞 / アラキドン酸 / ホスフォリ-パーゼA_2 / カルシウム阻害剤 / チロシンキナーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
ヒトに感染するサルモネラは、腸炎など局所感染を起こすS.Typhimurium、S.Enteritidisなど多くの血清型と敗血症・菌血症など全身感染を起こすS.Typhi、S.Paratyphi A、およびS.Choleraesuisに大別される。これらのうちS.Choleraesuisは、ヒトのみではなく、ブタ(およびマウス)などの動物にも全身感染する特徴のある血清型である。サルモネラが全身感染した場合、血管平滑筋など血管を構成する細胞に対する作用に興味が持たれるが、このような研究はなされていない。本研究の目的は、S.Choleraesuisの血管平滑筋細胞に対する作用およびそのメカニズムを明らかにし、本菌による敗血症(菌血所)の発症メカニズム解明の基礎データーを得ることにある。以下に、本年度に得られた結果を示す。 1 ブタの大動脈から調製した培養平滑筋細胞、および敗血症ブタから分離されたS.Choleraesuis RF-1株を用いた。S.Choleraesuis RF-1株は培養平滑筋細胞に浸入した。この浸入の程度は上皮由来株化HEp-2細胞にに対する浸入性より高かった。この浸入性は、ビルレンスプラスミドの脱落株でも同様に見られた。したがって、S.Choleraesuisの培養平滑筋細胞への浸入にビルレンスプラスミドは関与していないことが明らかになった。また、S.Choleraesuis RF-1株の浸入性は腸管または気管由来平滑筋細胞でも同様に見られた。 2 S.Choleraesuis RF-1株の感染によって、感染約3時間後から培養平滑筋細胞の収縮が起こった。また、これに伴って細胞内へのカルシウムの流入が増加した。これら細胞の収縮および細胞内カルシウムの流入に続いて、細胞からのアラキドン酸の遊離が観察された。このことから細胞内のホスフォリパーゼA_2活性が上昇することが明らかとなった。これらの現象は対照に用いた大腸菌C600株では観察されなかった。このホスフォリパーゼA_2の活性化はカルシウム阻害剤verapamilおよびチロシンキナーゼ阻害剤herbimycinによって阻害された。 以上、S.Choleraesuisの感染によって培養平滑筋細胞が収縮することがわかった。また、この収縮にはアラキドン酸代謝系カスケードが関与していることを示唆する結果が得られた。次年度は、このメカニズムを分子遺伝子学的、超微細形態学的に解明する予定である。
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Research Products
(1 results)