1996 Fiscal Year Annual Research Report
MRSAおよびMRSEにおけるキノロン薬の新たな標的部位トポIVと耐性機構
Project/Area Number |
08670325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西野 武志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50097838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 雅子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (30121552)
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30121560)
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Keywords | DNAジャイレース / Topo IV / キノロン薬 / MRSA / MRSE / 耐性機構 |
Research Abstract |
教室保存の標準株および臨床分離のMRSAを含む黄色ブドウ球菌65株を用いてTopoIVを支配する遺伝子grlAの一部をPCRにより増幅し、SSCP解析法を用いてキノロン耐性決定領域の変異のパターンについて検討したところ、AからEの5つに分類できた。全65株の変異部位は、A(22株):Ser80→Phe,B(16株):Ser80→Tyr,C(18株):Ser80→Tyr&Ser81→Pro,D(4株):Ser80→Phe&Glu84→Lys,E(4株):Ser80→Tyr&Glu84→Lysであり、すべてのパターンにおいてSer80の変異が認められた。このことよりSer80における変異がキノロン耐性においてもっとも一般的で重要な変異であると考えられた。またDNAジャイレースをコードするgyrA遺伝子の変異を同じ菌株を用いてPCRで増幅し、検討したところSer84→Leuの変異を認めた。以上のことより、黄色ブドウ球菌のキノロン耐性においてもgrlA遺伝子のSer80における変異およびgyrA遺伝子のSer84における変異が関与していることが示唆された。 一方、MRSEを含む表皮ブドウ球菌77株についても検討をおこない、gyrA遺伝子の解析では、アミノ酸は変化せず、塩基配列のみ変化するsilent mutationや点変異さらに二重点変異をみとめた。また、これらの変異を有する株のうちgyrA遺伝子のSer84の変異が大部分をしめ、やはりこの部位における変異が表皮ブドウ球菌においてもキノロン耐性に最も重要な変化であると考えられた。抗菌力との関係では、一点変異よりも二重点変異の方が耐性度がより高いことから、Ser84を中心としたアミノ酸の置換が増えることによりGyrA蛋白が変化してより高度耐性を持つものと思われる。しかし、現在のところ表皮ブドウ球菌のgrl遺伝子のクローニングに成功しておらず、今後このクローニングに成功し、この変異部位を解析することににより、さらに詳細な考察が出来ることが予想される。また、キノロン耐性の淋菌も世界的に注目されつつあり、これらの耐性機構についても、特にDNAジャイレースおよびTopoIVの面より現在検討を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masakuni Ozaki: "Structure-antibacterial activity and cytotoxicity relationships of thiazolo and thiazetoquinolone derivatives" Biol.Pharm.Bull.19. 1457-1462 (1996)
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[Publications] Nobuhisa Masuda: "In vitro and in vivo antibacterial activities of CS-940,a new 6-fluoro-8-difluoromethoxy quinolone" Antimicrob.Agents Chemother.40. 1201-1207 (1996)
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[Publications] Masatoshi Tanaka: "Mutation in DNA gyrase of norfloxacin-resistant clinical isolates of Neisseria gonorrhoeae" Genitourin.Med.72. 295-297 (1996)