1997 Fiscal Year Annual Research Report
MRSAおよびMRSEにおけるキノロン薬の新たな標的部位トポIVと耐性機構
Project/Area Number |
08670325
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西野 武志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50097838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 雅子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (30121552)
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (30121156)
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Keywords | DNAジャイレース / TopoIV / キノロン薬 / MRSA / MRSE / 耐性機構 |
Research Abstract |
MRSAを含むStaphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)のキノロン薬の耐性機構について検討を行った。まず、未だ同定されていないparC遺伝子のキノロン耐性決定領域の塩基配列を決定するために、他の細菌のParC蛋白のアミノ酸配列から相同性の高い部分を選択し、degenerateプライマーを設計した。このプライマーを用いて得たPCR産物をクローニングし、その塩基配列を決定した。 次に、表皮ブドウ球菌のキノロン耐性とgyrA遺伝子およびparC遺伝子上の変異との関連を明らかにするために、標準株ATCC1228株より様々な感受性を示すキノロン耐性株を試験館内で分離した。これらの耐性株のgyrA遺伝子およびparC遺伝子の塩基配列の解析を行ったところ、6株においてParC蛋白のSer80→Pheの変異が、又、1株においてAsp79→Asnの変異が認められた。一方、一部の菌株ではGyrA蛋白のSer84→Tyrの変異が、さらに他の菌株ではSer84→Tyr&Asp94→Glyへの二重点変異が確認された。 また、表皮ブドウ球菌ATCC1228株と本実験で分離した耐性株におけるノルフロキサシン(NFLX)の菌体内蓄積量を測定し、薬剤排出機構によるキノロン耐性の検討を行った。その結果、得た耐性株5株においてNFLXの菌体内蓄積量の低下が確認された。これらの結果よりキノロン排出機構による耐性化も関与していることが示唆された。 以上の結果より、キノロン耐性決定領域内に生じているparC遺伝子変異あるいはキノロン排出による菌体内蓄積量の低下がそれぞれ単独により、あるいはgyrA遺伝子、parC遺伝子の両遺伝子の変異および排出機構による菌体内蓄積量の低下との重複がMRSEを含む表皮ブドウ球菌のキノロン耐性機構の一要因となることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yoshie Takahashi: "In vitro activity of HSR-903,a new quinolone." Antimicrob.Agents Chemother.41. 1326-1330 (1997)
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[Publications] 猪狩淳: "臨床材料分離菌の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス(1年次報告)" JPN.J.Antibiotics. 50. 683-703 (1997)