1996 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス表面抗原超可変領域に対するキラーT細胞の誘導ワクチンの開発
Project/Area Number |
08670347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白井 睦訓 山口大学, 医学部, 助教授 (20196596)
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Keywords | C型肝炎 / HCV / Vaccinia / ワクチン / ペプチド / CTL |
Research Abstract |
患者由来および既報のC型肝炎ウイルスの表面抗原超可変領域をカバーするアミノ酸配列(30株以上)に基づく合成ペプチドの作製と精製を行った。また、同部位を含む領域をコードするcDNAの作製とそれを挿入した発現プラスミドベクターの作製と、野性型vaccinia virusへのTk遺伝子相同置換による挿入によるHCV抗原発現遺伝子組換え型Vaccinia virusの作製を行った。 作製したVaccinia virusで免疫したマウス脾細胞やいろいろなstageのHCV感染患者より採取した末梢血リンパ球を用いた抗原ペプチド特異的T細胞の増殖、サイトカインの産生、キラーT細胞活性の検索を行った。その結果、C型肝炎ウイルスの表面抗原超可変領域内のTHVTGGRVASSTQSLに対してH-2b由来のT細胞、GRVASSTQSLVSWLSに対してH-2b由来のT細胞、WLSQGPSQKIQLVNTに対してHLA-DR4陽性慢性C型肝炎患者より採取した末梢血のT細胞が特異的増殖反応を起し、interleukin-2を産生していることが解明できた。 このようにC型肝炎ウイルスの表面抗原超可変領域内には、異なるハプロタイプ、HLAにより制御されているT細胞が認識するエピトープが密在していることが判明した。 次年度では、エピトープ相当部位のアミノ酸配列の構造解析、側鎖の性質(aliphatic,aromatic、charge,polarityなど)、高次構造、MHC(HLA)のペプチド結合floorにおける各ポケットとの結合様式(必要エネルギー等も)の解析などを行うとともに、T細胞レセプターやMHCへの結合強度を検討して、構造解析の理論の実験的裏付けを行う。また、株間で保存された部位は残して、株間で高頻度に異なる部位のアミノ酸の共通の性質(側鎖の性質等上記の検討項目)を見い出し、広く交差反応(MHCまたはT細胞レセプター[TCR]認識のdegeneracy)を起こし得るアミノ酸によってエピトープのアミノ酸配列の1から数残基を置換し検討する。誘導されたT細胞のCD4、CD8の陽性の如何、抗原提示しているHLA分子の決定、Precursorの頻度、ペプチドの量依存性、等の詳細を検討を行う。患者血清を用いたELISAテストによりそれら合成したペプチドへの抗体反応(Titer,サブクラス等)を解析する。
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