1996 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞間T細胞による生体上皮細胞層恒常性の統御機構解明
Project/Area Number |
08670373
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石川 博通 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (20051667)
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Keywords | 上皮内γδT細胞 / 上皮恒常性維持 / 腸管上皮細胞間T細胞 / 胸腺外発達分化 / cryptopatch / c-kit^+幹細胞 |
Research Abstract |
マウス表皮内に分布する樹状のT細胞のほぼすべては単一のT細胞抗原レセプターを発現するγδT細胞である(γδ-dEC).γδT細胞のみを欠損するミュータント(δ^<-1->)マウスに表皮内移植片対宿主反応(GvHR)を誘導し免疫防御反応を精査した結果以下のことが明らかとなった.ミュータントでない通常(WT)マウスではGvHRが自然治癒した同局所に再びGvHRを引き起こすことが出来ない(GvHR抵抗性の獲得)にもかかわらず,δ^<-1->マウスはこのGvHR抵抗性を獲得できなしことが判明した.GvHR抵抗性は局所に集積して来るαβT細胞によって担われるが,γδ-dECはこのαβT細胞機能をup-regulateし表皮免疫防御に参画することを示している. マウス腸管上皮細胞間に分布するT細胞(IEL)はαβ-IEL(50〜60%)とγδ-IEL(40〜50%)で構成されるが,その大多数は胸腺を通過することなく腸管局所で発達分化することが明らかにされている.腸管粘膜にc-kit^+,IL-7R^+,Thy1^+でCD3-,B220^-の未分化リンパ球の小集積を見出し,それらが陰窩の粘膜固有層に分布することからcryptopatch(CP)と命名した.集積するリンパ球の細胞表面マーカーからCPがB細胞系よりT細胞系に分化した幹細胞であることが示唆された.CPがIELの発達分化局所である可能性は極めて高く,CP由来リンパ球がCP周辺の基底膜から上皮細胞層に侵入することはほぼ確実である.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 南野昌信: "粘膜免疫" 実験医学別冊・メディカル用語ライブラリー・免疫疾患(分子メカニズムから病態・診断・治療まで). 100-101 (1996)
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[Publications] 南野昌信: "Oral toleranceにおける小腸上皮細胞間Tリンパ球(IEL)の役割【特集・oral toleranceとは?】" 週刊・医学のあゆみ. 177. 380-382 (1996)
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[Publications] 石川博通: "腸管粘膜上皮間リンパ球の生体内生理的機能【特集・粘膜免疫の基礎と臨床】" 最新医学. 51. 455-460 (1996)
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[Publications] 藤浦康良: "Development of CD8^+ intestinal intraepithelial T cells in β2M-microglobulin-and/or TAP1-deficient mice." The Journal of Immunology. 156. 2710-2715 (1996)
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[Publications] 塩原哲夫: "Resistance to cutaneous graft-vs.-host disease is not induced in TCR δ gene-mutan mice." The Journal of Experimental Medicine. 183. 1483-1489 (1996)
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[Publications] 金森豊: "Identification of novel Iymphoid tissues in murine intestinal mucosa where clusters of c-kit^+ IL-7R^+ Thy^+ Iympho-hemopoietic progenitors develop." The Journal of Experimental Medicine. 184. 1449-1459 (1996)
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[Publications] 川口真理子: "Development and cytolytic function of intestinal intr-aepithelial T Iymphocytes in antigen-minimized mice." Immunology. 268-273 (1996)