1996 Fiscal Year Annual Research Report
μ鎖分子複合体のアッセンブリとシグナル伝達関連因子のクローニング
Project/Area Number |
08670378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
大西 和夫 国立予防衛生研究所, 免疫部, 研究員 (90169011)
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Keywords | プレB細胞受容体 / μ鎖分子複合体 / アッセンブリ / 小胞体 / シグナル伝達 / 分化シグナル / クローニング |
Research Abstract |
μ鎖・代理軽鎖分子複合体(プレB細胞受容体)のアッセンブリまたはシグナル伝達に関与すると考えられる因子の同定・クローニングについて2つのアプローチをとった。1つは、免疫沈降法に基づいた生化学的方法によってμ鎖・代理軽鎖と複合体を形成する分子を精製し、その部分アミノ酸配列を得、クローニングを試みる方法で、現在までに5個の異なる分子のアミノ酸部分配列を得た。これらのうち2個は未知の配列であった。このうち、抗代理軽鎖抗体で免疫沈降する分子量46kの分子から得られた25残基の未知のアミノ酸配列は、興味あるモチーフを内在しており、シグナル伝達に関与する分子である可能性が高い。現在、PCR/RACE法によるクローニングを行っている。 2つめのアプローチとして、進化的に保存されたアミノ酸配列に基づくPCRプライマーをデザインすることによって、機能分子のクローニングを試みている。酵母において、小胞体に局在し、様々な分子複合体のアッセンブリの状態を反映したシグナル核に送る分子として報告されたIRE1遺伝子の中に、進化的に保存された領域を見つけた。この領域を利用したPCRプライマーを5セット作成し、PCR/RACEによるクローニングを試みている。本研究の主眼は、マウスリンパ球(B細胞)において、酵母同様、小胞体から核へのシグナル経路があるのか、あるとすればどのような因子が関与するのかを知ることであるが、このシグナル経路の存否を知る実験として、ER-retension signal(KKXX-motif)をμ鎖のC末端に付加した遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作成した。理論的には、このトランスジェニックμ鎖は、小胞体にとどまり、細胞表面には発現しないはずである。そこで、小胞体にとどまったμ鎖・代理軽鎖分子複合体がB細胞分化シグナルの伝達を行うかを現在解析中である。
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