1997 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞における核内チロシンホスファターゼPEPの作用機序
Project/Area Number |
08670379
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
矢倉 英隆 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学・免疫学研究部門, 参事研究員 (60166486)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 達雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学・免疫学研究部門, 主事 (00233742)
荻本 真美 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学・免疫学研究部門, 主事 (80158609)
|
Keywords | チロシンホスファターゼ / PEP / シグナル伝達 / Csk / WEHI-231 / 核移行 / アポトーシス |
Research Abstract |
B細胞抗原レセプター(BCR)シグナルを制御しているチロシンホスファターゼ(PTP)を同定するため、WEHI-231未熟B細胞株に発現するPTPをRT-PCRでクローニングし、その発現がBCR架橋による変化するPTPを検索した。その結果、PEST領域を持つ細胞内型PTPで、造血系細胞に特異的な発現を示すPEPが同定された。この酵素は約80%が細胞質に、また約20%が核内に存在するが、BCR刺激後3時間から12時間にかけて、核内での発現が4〜6倍上昇することが明らかになった。さらに、核内での発現上昇はPKCを消費することにより見られなくなることから、PKCによるPEPのリン酸化が核内での発現に関与している可能性が示唆された。 次に、PEPのBCRシグナルへの直接的な関与について、アンチセンスPEP cDNAをWEHIー231に導入して解析した。その結果、PEPの発現が40〜60%抑制されたクローンではBCR刺激による増殖抑制、アポトーシスがほぼ完全に解除されることが明らかになった。このことは、PEPがBCRシグナルに必須のポジティブ・レギュレーターであることを強く示唆している。PEPは細胞内ではCsk(SrcのC-末キナーゼ)と結合していることから、Src型チロシンキナーゼの制御を介して機能している可能性が考えられる。しかし、Cskのない核内でPEPがどのような役割を担っているのかについては不明である。現在、核内でのPEPの作用機序解明のため、その結合蛋白、および基質の同定を進めている。
|
-
[Publications] Yakura,H: "Protein tyrosine phosphatases in B lymphocyte signal transduction" Kinases and Phosphatases in Lymphocyte and Neuronal Signaling (ed,Yakura,H)Springer-Verlag,Tokyo. 134-146 (1997)
-
[Publications] Hasegawa.K: "Role of PEST domain tyrosine phosphatase PEP in B cell antigen receptor-induced signaling" Kinases and Phosphatases in Lymphocyte and Neuronal Signaling (ed,Yakura,H)Springer-Verlag,Tokyo. 325-326 (1997)
-
[Publications] 片桐達雄: "B細胞レセプターとチロシンホスファターゼ" Annual Review 免疫 1998.中外医学社. 107-117 (1997)
-
[Publications] 有村 裕: "MAPキナーゼ(MAPK)とMAPKホスファターゼによるB細胞シグナル伝達の制御" 臨床免疫. (印刷中).
-
[Publications] Yakura,H: "Protein tyrosine phosphatases in lymphocyte signaling" Immunology Today. (In press). (1998)
-
[Publications] Yakura,H(ed): "Kinases and Phosphatases in Lymphocyte and Neuronal Signaling" Springer-Verlag,Tokyo, 368 (1997)