1996 Fiscal Year Annual Research Report
突然変異抑制作用を有する脂肪酸のヒト胆汁中の動態に関する疫学的研究
Project/Area Number |
08670387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 正治 新潟大学, 医学部, 教授 (40018693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和利 新潟大学, 医学部, 助手 (70207869)
中平 浩人 新潟大学, 医学部, 助手 (40217758)
遠藤 和男 新潟大学, 医学部, 助教授 (60176790)
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Keywords | 胆のうがん / 胆汁 / 脂肪酸 / 高速液体クロマトグラフィー / 突然変異原性 / 突然変異抑制作用 |
Research Abstract |
ヒト胆汁(Blue rayon処理)に突然変異原性があり、さらに胆汁中の遊離脂肪酸がその抑制作用を持つことが明らかになった。そこで胆汁中の脂肪酸組成及び量を知り、がん発生との関連性を見出すことが研究の目的である。今年度は分析方法の確立と予備的試料分析を行った。 1.分析法 無極性相カラムからジェチルエーテルで溶出される固相抽出法により胆汁中より遊離脂肪酸を抽出、これをアセトニトリル/水系の移動相で同じく無極性の逆相カラムにより分離する高速液体クロマトグラフィー法を工夫した。主な改良点は、(1)最少量の溶媒を用い短時間で複数の試料を同時抽出。(2)脂肪酸と同時に抽出される他の中性脂肪分画から特異的に脂肪酸を検出する為に現在最も簡便な誘導化であるADAM法の応用。(3)抽出条件(pH,胆汁酸の混入等)の検討を行い、全ての脂肪酸に関して胆汁中脂肪酸濃度レベルで約90〜100%の回収率を実現したことである。 2.脂肪酸濃度 胆石症の胆摘胆のう内胆汁10例を分析した。(1)脂肪酸濃度の平均【.+-。】S.D.はラウリン酸0.6【.+-。】0.7μg/ml、ミリスチン酸2.4【.+-。】5.4、パルミチン酸43.7(]S.。+-。[)24.6、パルミトレイン酸4.4【.+-。】5.0、ステアリン酸9.5【.+-。】3.8、オレイン酸27.6【.+-。】21.9、リノール酸52.9【.+-。】47.7、リノレン酸9.9【.+-。】8.5、アラキドン酸16.9【.+-。】15.6で、脂肪酸による差と固体間の差が極めて大きかった。(2)脂肪酸のモル濃度の平均【.+-。】S.D.は0.61mmol/l(mM)【.+-。】0.41、各脂肪酸組成はそれぞれ0.9【.+-。】1.3%、1.7【.+-。】2.3、32.8【.+-。】12.5、2.6【.+-。】2.0、7.5【.+-。】4.5、15.2【.+-。】5.2、26.1【.+-。】10.5、5.4【.+-。】2.1%、7.8【.+-。】3.5であり、胆汁中に多く存在するリン脂質の構成脂肪酸と類似している。(3)変異原活性を抑制する脂肪酸はラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸である。これらの総モル濃度の平均【.+-。】S.D.は0.41【.+-。】0.33mmol/l(mM)、総脂肪酸に対する割合は59.6【.+-。】16.7%であった。
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