1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670411
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
千葉 仁志 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (70197622)
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Keywords | HDL / コレステロール / コレステリルエステル転送蛋白 / リン脂質転送蛋白 / HDL結合蛋白 |
Research Abstract |
HDL-C>120mg/dlの著しい高HDL血症を呈しながらcommonな既知cholesteryl ester transfer protein(CETP)遺伝子変異が証明されない症例(n=5)について,稀な遺伝子型であるIntl4T,Q309X,G181Xの検索とCETP活性測定をおこなった.いずれの症例もコントロールより低いCETP活性を認めたが,既知の変異型は検出されなかった.このことから,未知CETP変異の可能性が示唆されたので,CETP遺伝子の全エクソンとエクソン/イントロン境界部についてPCR産物の直接DNAシークエンシングを行ったが,検索しえた範囲ではどの患者のDNA配列にも異常を見いだせなかった.この結果の意味するところは,大きな欠失または挿入により異常DNA鎖がPCR増幅されなかったか,CETP遺伝子の上流ないし下流の調節域に異常がある可能性が考えられる.この問題を明らかにするために,現在我々は,上記患者のゲノムに対してCETP遺伝子cDNAをプローブとするサザンブロッティング,更には,上流および下流のDNAシークエンスを行っており,近日中にその結果が得られると考えている. 血中Phospholipid Transfer Protein(PTP)については,蛍光色素による活性測定の系を作製した.活性の比較的低い症例で,PTP遺伝子のPCR産物の直接DNAシークエンシングを行ったが,PTP遺伝子変異は見いだせなかった.今後は,抗CETP抗体を添加するなどの方法を試みて活性測定の信頼性を向上し,PTP活性低下症例を多くスクリーニングして遺伝子解析を継続する必要がある. リンパ球のHDL-binding protein活性測定のために,蛍光色素FITCを用いて正常HDLを標識し培養リンパ球と混和後,フローサイトメトリーに供した.正常者リンパ球で平均約20%が蛍光陽性となる条件で既知のCETP遺伝子変異を有しない高HDL血症患者(n=5)からのリンパ球について検討を行ったところ,患者リンパ球の陽性率は正常コントロールと有意な差を認めなかった.今後も更にスクリーニングを継続する予定である.
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[Publications] Chiba H: "Quartitative and compositional change in high density lipoprotein subclasses in patients with various genotypes of CETP deficiency" Journal of Lipid Research. 38・6. 1204-1216 (1997)
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[Publications] Kamigaki M: "A case of familial hypercholesterolemia with CETP deficiency" Internal Medicine. (印刷中). (1998)