1996 Fiscal Year Annual Research Report
阪神大震災被災者におけるストレスとその変化-「心のケアネットワーク」ボランティア活動における被災者の記録・調査の分析
Project/Area Number |
08670416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30251557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 哲 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 助教授 (90277658)
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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Keywords | 災害 / トラウマ / ボランティア / メンタルヘルス / 被災者 |
Research Abstract |
1.ボランティア記録による平成7年1月22日から平成7年6月30日までの避難所被災者データを、喪失体験とPTSS(Posttraumatic Stress Syndrome)の内容とその変化、避難所におけるストレッサーとその変化、避難所におけるリーダー・ボランティアのメンタルヘルス、の3点につき分類した。 2.姫路市内の仮設住宅2地区に居住する20代から80代までの81名を対象とするストレス調査を平成7年12月から平成8年8月の9ヶ月間に計4回追跡的に行った。平成8年8月には153名を対象に横断調査を行った。標準化された質問紙GHQ(General Health Questionnaire)と、山上・小西・西澤作成の「住民の特性」、「コミュニティー」、「住民の精神健康」についての質問紙で配布留置法にて調査を行った。 (1)震災1年後の平成8年2月から8月にかけて、仮設住宅住民の精神健康状態が不健康の域を脱していないことがGHQ平均得点からわかった。GHQ得点の経時的な推移を見ると、特にB地区で2月から4月にかけて有意に低下し、その後は横這い状態であった。その背景には住民の精神・心理的状態の変遷と仮設住宅暮らしへの慣れ及び諦めがあったことが窺われた。 (2)GHQ得点が有意に高かったのは、震災後体調を崩した人、経済的に苦しいと感じている人、震災前に比べ家族とのつきあいが減った人であった。住民の精神健康と関連する要因として、身体的な健康状態、経済状況などの社会的な背景、そして親密な人間関係に代表されるソーシャル・サポートの状況があげられよう。 (3)2地区の比較の結果、仮設住宅に形成されるコミュニティーの形態や雰囲気は地区によって差異があることが確認されたが、この地区差を説明できるような明確な要因は見いだせなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小西 聖子: "阪神大震災における心理的被害者援助の試み" 被害者学研究. 6. 66-80 (1996)
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[Publications] 岡田 幸之: "災害下の思春期精神医学" 思春期学. 14・3. 216-221 (1996)
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[Publications] 小西 聖子: "ボランティアによるメンタルヘルスケアの試み" 震災フォーラム1996(災害心理支援ネットワーク). (印刷中).