1996 Fiscal Year Annual Research Report
抗C型肝炎ウイルス抗体陽性者の予後に影響する要因を解明するための追跡調査研究
Project/Area Number |
08670437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
森 満 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (50175634)
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Keywords | HCV抗体 / 追跡調査研究 / 肝がん / 肝硬変 / 死亡 / 危険因子 |
Research Abstract |
【目的】肝疾患検診を受けた住民を前向きに追跡調査して、検査値や生活習慣と死亡との関連を検討した。【方法】1992年6月に佐賀県K町が実施した肝疾患検診を受信した3,061人(男982、女2,079)の住民を-1996年3月31日までの死亡を終点として追跡調査した。基礎調査時の情報は、抗C型肝炎ウイルス抗体(以下HCV抗体と略す、第2世代PHA法、抗体価が2^2〜2^<11>を弱腸性、2^<12>以上を強陽性とした)、血清生化学的検査、喫煙、飲酒等の生活習慣などであった。インフォームド・コンセントを得た後に、対象者が受診した医療機関などで調査を行った。コックス回復分析によってハザード比(HR)とその95%信頼区間(CI)を求めて死亡と関連する要因を検討した。【結果】対象者の基礎調査時における平均年齢(標準偏差)は男が61.7歳(12.8)で、女の56.6歳(13.5)よりも高かった。肝癌罹患者は17人(男15、女2)であった。男女別、HCV抗体別に死亡割合と主な死因を観察すると、男のHCV抗体強陽性者での肝がんによる死亡の割合が大きかった。男ではHCV抗体強陽性者の死亡リスクが高かったが、弱陽性者のそれは陰性者と変わらず、女ではHCV抗体の状況で死亡リスクに差異はなかった。死亡者の割合は年齢層が高くなるほど大きく(HR=2.66、95%CI2.11〜3.36)、男が女よりも大きかった(年齢を調整したHR=2.68、95%CI 1.71〜4.19)。そこで、男女別に年齢を調整して死亡との関連要因を検討したが、男では慢性肝炎、肝硬変、あるいは、肝癌に罹患、HCV抗体強陽性、ZTT、ChE(負)、アルブミン(負)、飲酒指数(量×年)が死亡のリスと関連していた。女では総コレステロールとアルブミンが死亡のリスクと負の関連をしていた。【考察】飲酒習慣がHCV抗体陽性者の予後に悪い影響している可能性が示唆された。今後は死亡と関連する要因のみならず、肝がんに罹患するリスクと関連する要因も検討する予定である。
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