1996 Fiscal Year Annual Research Report
児童による環境・被災体験マッピング;環境への前向きな適応を児童の認識地図から学ぶ
Project/Area Number |
08670439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
守山 正樹 長崎大学, 医学部, 助教授 (10145229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正 滋賀大学, 教育学部, 教授 (20024987)
横尾 美智代 長崎大学, 医学部, 教務職員 (00336158)
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Keywords | 児童の環境認識 / 被災体験 / 阪神大震災 / イメージ・マッピング / 認識地図 |
Research Abstract |
1)地震災害に関連した児童の体験を可視化する枠組みの開発;兵庫県明石市のA小学校児童が書いた作文の分析を元に、阪神大震災時に於ける児童の体験に関連したキーワードを抽出した結果、39項目が得られた(1.地震で揺れた、2.自分がケガした、3.友だちや家族がケガした、……等)。これらの項目を略画化し、児童が手で走査できるようなマッピング用の小カードセットを作成した。カードを並べるシートとしてA3用紙を横置きにし、横軸には事象に対する不快感(ちょっと嫌、とても嫌を、縦軸には好感(ちょっと嬉しい、とても嬉しい)を三段階で表示した。 2)震災被災児童の体験マッピング;A小学校2、4、6年生の児童計242名を対象として、上記のカードとシートによって、震災時の体験をマップさせ、更に出来上がったマップを見て考えたことを感じたことを自由に表現させた(震災体験の個別外化)。この試みより、4、6年生だけでなくこれまで試みたことのなかった2年生という低学年の児童においても、本マッピング法は児童の立場からの認識を捉える上で期待通りの働きをすることが示された。 3)児童の参加的情報共有による被災体験の事例検討;上述したマッピングの1週間後、全児童に自分のマップを返却するとともに、全同級生のマップを乗せた資料集を渡した上で、自己と他者のマップの特徴を読み取らせ、考えたこと感じたことを表現させた。その結果半数以上の児童において他者の震災体験に対する様々な気づきと発見が誘発され、児童が自己の被災体験を他者との関連で再構成しはじめている事実が示唆された。
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