1997 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける差別出生力構造に関する人口生態学研究
Project/Area Number |
08670454
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高坂 宏一 杏林大学, 保健学部, 教授 (00146557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出嶋 靖志 杏林大学, 保健学部, 講師 (00237025)
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Keywords | インドネシア / 出生力 / 既婚者割合 / 地域差 |
Research Abstract |
昨年度(初年度)はインドネシアの主要な島を中心に5地域に分類して分析を進めたが、本年度(第2年度)は初年度に得られた知見をさらに進めて検討するために、州/地域単位の分析を進めた。23の州とジャカルタ、ジョクジャカルタ、アチェの3つの特別地域の計26である。東チモール州は分析から除いた。なお、以下の表記では特別地域も含めて州とする。分析にはPenduduk Indonesia,Hasil Survei Penduduk Antar Sensusu 1985およびProyeksi Penduduk Indonesia Per Provinsi,1985-1995のデータを使用した。5歳階級別のASFRが20歳-24歳で最高値を示したのは18州、25-29歳で最高値を示したのは7州、前記両年齢階級で同値であったのは1州であった。TFRは地域差が大きく、2.9から5.7に分布していた。初婚年齢別人口から年齢別の初婚者割合を求め、その累積割合を既婚者割合として検討した結果、既婚者割合が州の間で最も差が大きくなる年齢は18歳であった。この年齢の既婚者割合が最も低いのはNusa Tenggara Timurの23.5%、最も高いのはJawa Baratの78.4%であった。また既婚者割合が50%を越えるのはJawa Baratで最も早く16歳、Nusa Tenggara Timur、Bali、Sulawesi Utara、Mulukuで最も遅く20-21歳であった。これらの結果にもとづいて、出生力と既婚者割合の関連性について検討した。19歳の既婚者割合と20歳未満ASFRには正の相関が見られたが、25歳未満、30歳未満、35歳未満、40歳未満、45歳未満の各ASFRの累積値およびTFRとの間にはいずれも相関は認められなかった。この結果は、若年層の既婚者割合がその州の若年層の出生力にのみ影響を及ぼしており、生涯の出生力に影響を与えるものでないことを示唆している。州によって2倍の出生力の差がみられること、既婚者割合が年齢によって極めて異なることなど、顕著な多様性やそれらの関連性、非関連性が示された以上の結果は、更に検討して公表する予定である。
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