1996 Fiscal Year Annual Research Report
血清HDLコレステロールと脳卒中罹患との関連に関するコホート研究
Project/Area Number |
08670459
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40198461)
森河 裕子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (20210156)
田畑 正司 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40188404)
三浦 克之 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90257452)
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Keywords | 脳卒中 / 脳梗塞 / 罹患 / 血清HDLコレステロール / コホート研究 / 危険因子 / 疫学 |
Research Abstract |
本研究は、地域における一般人集団におけるコホート研究の手法を用い、血清HDLコレステロールが脳血管疾患罹患の危険因子となるのかを検討することを目的としたものである。対象集団は富山県小矢部市住民であるが、同市では1969年より脳卒中登録制度が整備されており、全市民の脳血管疾患の罹患状況が病型別に把握されている。1988年に住民検診を受信した40歳以上80歳未満の男女4608人(男1463人、女3145人、平均年齢58.4歳)をコホートに設定し、1995年末まで約7年追跡した。コホート集団では、追跡開始時点において体格、血圧とともに、血清総コレステロールおよび血清HDLコレステロールを測定した。また、喫煙習慣および飲酒習慣に関する質問を行った。コホート集団の1995年までの脳卒中罹患状況は脳卒中登録により把握した。脳卒中の病型別では脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、その他に分類して把握した。 約7年間の追跡中に脳卒中に罹患したものは追跡を行った4608人中81人であった。病型別に見ると、脳梗塞54人、脳出血13人、くも膜下出血13人、その他1人であった。まず、全脳卒中罹患に関する危険因子を明らかにするために、多重ロジスティック回帰を用いて多変量解析を行った。年齢、性別、肥満度(BMI)、収縮期血圧、血清総コレステロール、血清HDLコレステロールを説明変数とした解析では、年齢と収縮期血圧のみが有意な危険因子となり、血清HDLコレステロールは有意とならなかった(p=0.107)。脳梗塞のみに関する同様の解析を行ったところ、年齢、性、収縮期血圧に加え、血清HDLコレステロールが有意な負の危険因子となり(p=0.014)、血清HDLコレステロールの低値が脳梗塞罹患の独立した危険因子として抽出された。脳梗塞罹患に関して、喫煙及び飲酒を補正した解析でも、血清HDLコレステロールが危険因子となる傾向を示した。
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