1996 Fiscal Year Annual Research Report
聴力リスク計の開発と騒音曝露による聴力影響評価への応用
Project/Area Number |
08670468
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
伊藤 昭好 財団法人労働科学研究所, 労働環境保健研究部, 主任研究員 (30151492)
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Keywords | 騒音ばく露 / 聴力 / 一過性閾値移動 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
騒音の個人曝露評価のツールとして、騒音曝露による聴力の一過性閾値移動(TTS)を迅速にシミュレートするための聴力リスク計の演算ユニットを開発した。当初は、ユニット内に曝露騒音レベルの測定、記録、TTS演算、表示の機能を持たせる予定であったが、経費的に難があった。一方で、サブノートタイプのパソコンのCPUの高速化が進み、従来の数十分の一の早さで演算可能であることが判明し、ユニット内には曝露レベルを記録しておき、一旦携帯用パソコンにデータを転送して、演算・表示するシステムとして開発することに変更した。 現在完成したユニットは、TTSの5つのテスト周波数2,3,4,6,8kHzの臨界帯域のバンドパスフィルタとA特性フィルタを内蔵し、各フィルタの音圧レベルに比例した0〜1Vの直流電圧出力(6チャンネル)を取り出すことができる。ダイナミックレンジは50dBで、50-100、60-110、70-12-dBの3段階の範囲に切り換えることが可能である。寸法は60mm×100mm×25mmの小型で約150gの重量となった。 6チャンネル分の出力をすでに入手しているデータロガーに保存することで、上記のテスト周波数のTTSを算出するために必要なデータを得ることが可能となった。従来は、これだけの情報を得るためには、携帯型のデジタルテープレコーダを作業者に装着して曝露騒音を記録し、後日再生して、周波数分析するという手段を取らざるを得なかったが、このユニットの開発により、分析に要する時間は数十分の一以下ですむようになった。 今後は、携帯型パソコンにデータを転送し、測定終了後、迅速に現場において、TTSのシミュレーション計算を実施し、表示するためのアプリケーションプログラムを開発することが課題となる。同時にさまざまな騒音職場に持ち込んで、ユニットの実証試験を進めていく。
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