1996 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型・非分泌型を決定する遺伝子の日本人特異的変異の検索と法医学への応用
Project/Area Number |
08670486
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
湯浅 勲 鳥取大学, 医学部, 講師 (00093633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入澤 淑人 鳥取大学, 医学部, 教授 (90112226)
池渕 淳 鳥取大学, 医学部, 助手 (30150361)
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Keywords | 血液型 / 分泌型 / PCR / SSCP / FUT2 / シーケンス |
Research Abstract |
ヒト集団においては、唾液中にタイプ1のH型血液型物質(Le^b物質)を分泌している分泌型のヒトと分泌していない非分泌型のヒトに分類することができ、優劣のある二つの対立遺伝子によって支配されている。この分泌型遺伝子はタイプ1の前駆物質にフコースを転移させる332個のアミノ酸からなるフコシルトランスフェラーゼ(FUT2)をコードしており、非分泌遺伝子は転移させる能力が欠損している。本研究では、日本人における非分泌型遺伝子の発生機序をpolymerase chain reactionを(PCR)法を応用して検討した。分泌型遺伝子は単一のエクソンから構成されており、PCR法によってコーディング部分を含む1071bpの産物を増幅し、さらにコーディング部分に設定したプライマーを用いて、nested PCRを行い、150bpから250bpのDNA断片を得た。この断片をsingle-strand confomation polymorphism(SSCP)分析で変異をスクリーニングした。変異が示唆された断片についてはダイレクトシーケンスにより塩基配列を決定した。日本人集団においては二種類の非分泌型遺伝子(se(J1)とse(J2))が認められた。se(J1)はアミノ酸置換を伴わない357番の塩基のCからTへの置換と129番のイソロイシンからフェニルアラニンへの置換をおこす385番の塩基のAからTへの置換が認められた。またse(J2)においては、628番のCがTに置換1、210番のアルギニンに対するコドンが停止コドンに変異していた。これら二つの非分泌型遺伝子は9:1の比率で出現していた。欧米人にみられる428番のGからAへの置換による143番目のトリプトファンから停止コドンへの変異は認められず、フコシルトランスフェラーゼの不活性化の原因置換は異なっていた。日本人でみられた塩基置換は、日本人あるいはアジア人に対して特異的であると言える。
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