1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
工藤 恵子 九州大学, 医学部, 助手 (10186405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 恒二郎 島根医科大学, 医学部, 教授 (30153191)
實渕 成美 九州大学, 医学部, 助手 (80232916)
今村 徹 九州大学, 医学部, 講師 (00193681)
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Keywords | 脳死 / カフェイン / 体内分布 |
Research Abstract |
本年度は嗜好品の主成分の一つであるカフェインに着目し、本薬物の体内分布の違いにより脳死の法医学的診断が可能かどうかについて検討を行った。 脳死状態を経過後心停止に至り、司法解剖に付された6名(脳死群)と脳死状態を経過しないで心停死に至った5名(非脳死群)の剖検死体について、体組織中カフェイン濃度をガスクロマトグラフィー/質量分析計を用いて測定した。その結果、非脳死群のカフェイン濃度は、脂肪以外の体組織においてほぼ血中濃度と同じになった。脂肪では対血中濃度比は約0.3であった。脳死群においては、脳と脂肪以外の体組織中カフェイン濃度は非脳死群と同様、血中濃度と等しくなった。脳のカフェイン濃度に関しては6例中5例については血中濃度より高く、輸血が行われた1例のみは血中濃度より低くなった。脂肪の対血中カフェイン濃度比は脳死群では非脳死群よりやや高い値となった。この脳死群における脳中薬物濃度の変化は、脳死状態において脳血流が停止したためにもたらされたものであろうと考えられた。 そこで脳とその他の体組織中カフェイン濃度を比較することで、脳死の法医学的証明が可能であることが判明した。
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