1997 Fiscal Year Annual Research Report
Dihydrotestosteroneの心血管系に及ぼす影響
Project/Area Number |
08670500
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
角田 健司 昭和大学, 医学部, 助教授 (40095906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道解 公一 昭和大学, 医学部, 講師 (60188844)
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Keywords | 雄性ホルモン / ジヒドロテストステロン / 右室肥大 / 肥満ラット / 循環機能 / コレステロール / HDLコレステロール / トリグリセライド |
Research Abstract |
ラットにdihydrotestosterone(DHT)を1.6mg/100g/day投与することにより,右室肥大や右心房肥大が顕著にあらわれた.しかし,心機能への影響では頚動脈圧の動きが判然としなかった.そこで雌雄共にそれについて再検討を試みた結果,頚動脈の平均血圧が低下する様相を呈し,その心機能を知るための指標として頚動脈収縮期圧と心拍数の積値(SH)を算出すると,その値は非投与に比べ統計学的に有意でないが低下の傾向を示した.これを明確にするため,雄ラットを対象にDHT投与量を8mg/100g/dayの5倍に増量した結果,心拍数には差がみられなかったが,頚動脈圧の平均値が非投与に比べ有意に低く,SH値も有意に低かった.なお右頚動脈からの右心カテーテル法での右室内圧に関しては,DHT投与によりその収縮期圧は非投与に比べ低く,右室機能としての右室収縮期圧と心拍数の積値もDHT投与で低い傾向を示した. 次に高脂肪食による肥満状態でのDHTの心血管系への影響を雄ラットで調べた.その結果,8mg/100g/dayのDHT投与では非投与に比べ心重量は体重比で有意に高く,通常食の1.5倍も増加した.通常食と同様に右室/体重比も有意に高かったが,右室肥大度は通常食の場合と同程度であった.右心房/体重比に加え中隔の有意な増加を示した.心機能ではDHT投与でSH値が有意に低く,その割合は通常食よりも低かった.従って肥満を伴なうことでDHT投与による心機能は一層低下することが示唆された. DHT投与による血漿脂質への影響に関しては,雄ラットで8mg/100g/dayのDHT投与において総コレステロールおよびHDL-コレステロールのレベルが非投与に比べ有意に低下し,逆にトリグリセライドは有意に増加した.肥満ラットにおいても同様な結果であった.
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