1996 Fiscal Year Annual Research Report
法医解剖例における死因とアポトーシスによるDNA断片化との相関の基礎的検討
Project/Area Number |
08670503
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
赤根 敦 関西医科大学, 医学部, 教授 (70202520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 澄孝 関西医科大学, 医学部, 助手 (70167005)
沖井 裕 関西医科大学, 医学部, 助手 (20121915)
吉田 学 関西医科大学, 医学部, 講師 (20122004)
綿引 利充 関西医科大学, 医学部, 講師 (70077692)
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Keywords | アポトーシス / DNA断片化 / 死因 / 法医解剖 / 焼死 |
Research Abstract |
各種死因のうち温熱的損傷による死の際に誘導されるアポトーシスについて検討するために、動物実験で基礎的データを得、しかる後に実際の培検例から得た試料の分析結果と比較検討した。 動物実験では、ICRマウスの死後直ちに取り出した肝臓と腎臓を試料として37〜65℃で1〜3時間加熱し、各試料から抽出したDNAの断片化の程度を比較した。65℃ではDNaseの変性のためDNAの断片化は全く認められなかったが、37〜50℃では温度および時間と相関して断片化が進行した(50℃では高分子量DNAが残存しなかった)。また腎よりも肝組織で断片化の程度が強く、臓器による反応性の差異が示唆された。37℃でも断片化は進行したが最高72時間加熱しても高分子量DNAは残存し、体温以上の加熱による断片化との識別が可能であった。37℃で放置後の各試料の50℃加熱の影響を検討したところ、肝組織では37℃で20分放置するだけで50℃加熱による断片化が有意に減弱したが、腎組織では6時間放置後も断片化が進行した。これらの臓器の反応性の差異は、死体からの臓器摘出の可否(温阻血時間の差異)と相関しているものと考えられた。 以上の基礎的データをもとにして、実際の培検例から摘出した肝および腎組織のDNAを分析したところ、焼死以外の死因の死体のDNAは多少の断片化が認められ(高分子量DNAは残存)、動物実験で37℃で加熱した場合のパターンに類似していた。一方焼死例では、ほとんどの試料で断片化はほとんど認められず、65℃程度以上の加熱を受けたものと示唆された。1例のみは断片化が進行していたが、高分子量DNAは残存しておらず、焼死例以外の死因の場合の断片化とは識別可能であった。以上のように、組織中DNAの性状の分析が死因と相関する可能性が示されたが、さらに断片化DNAの定量などを行なってより詳細に死因との相関を検討する必要があった。
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[Publications] 赤根敦: "加熱により誘導されるアポトーシスの検討-加熱温度とDNA断片化の相関-" DNA多型. 4. 199-203 (1996)
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[Publications] Akane,A.: "Apoptosis induced by heating : Relation between DNA fragmentation and heating temperature" Proceedings of the Third International Symposium Advances in Legal Medicine. (in press). (1996)