1997 Fiscal Year Annual Research Report
同種骨髄移植における移植後合併症とT細胞受容体レパートリーに関する研究
Project/Area Number |
08670508
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
廣川 誠 秋田大学, 医学部, 助手 (50241667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 隆二 塩野義中央研究所, 研究員
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Keywords | 骨髄移植 / T細胞受容体 / レパートリー / CDR3 / 移植合併症 |
Research Abstract |
1.同種骨髄移植後の末梢血Tリンパ球レパートリーの解析 同種骨髄移植後経時的に末梢血T細胞抗原リセプターのレパートリーをadaptor ligation-mediated PCRにより解析した.造血およびリンパ球の再増殖がおこる時期にレパートリーは大きく変化し、特定のVβ,Vα鎖を有するT細胞の増加が観察された.増加しているVβ,Vα鎖サブファミリーの種類は症例により異なっていた.T細胞レパートリーの変化は移植後約1年を経ると移植前の状態に回復する傾向にあった. 2.同種骨髄移植患者末梢血Tリンパ球形質の経時的変化 flow cytometry法により末梢血Tリンパ球の表面形質を検索したところ、CD3+CD8+CD28-HLA-DR+のTCRαβ+T細胞の増加が観察された.この増加したリンパ球サブセットは移植後約1年ほどで減少する傾向にあった.このT細胞をFACS sortingし、そのT細胞受容体について解析したところ、移植後増加するVβ,Vα鎖サブファミリーのT細胞受容体を有していた. 以上から骨髄移植後のT細胞受容体レパートリーの変化はCD3+CD8+CD28-HLA-DR+TCRαβ+T細胞の増加によりもたらされることが判明した. 3.T細胞受容体CDR3の多様性に関する解析 移植後の患者免疫能をさらに詳細に把握するために、T細胞受容体Vβ鎖のCDR3構造解析を試みた.方法はCDR3サイズスペクトラタイピングを用いた.その結果、移植後サイトメガロウイルスウイルス感染による肺炎を発症した免疫不全患者において複数個のVβサブファミリーのレパートリーおよび多様性の回復が遅延していることがわかった.
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