1997 Fiscal Year Annual Research Report
HIV感染者におけるウイルス抗原特異的T細胞の誘導
Project/Area Number |
08670510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 幾夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)
河崎 寛 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80280957)
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Keywords | HIV感染 / 抗原特異的T細胞 / リウマトイド因子 / EBVトランスフォーメーション / CD26 / AIDS |
Research Abstract |
HIV感染者ではT細胞や抗原提示細胞に障害が認められるが、長期未発症例などの検討からHIV特異的T細胞、特に細胞障害性T細胞やタイプ1ヘルパーT細胞が病気の進展阻止に重要である可能性が提起されている。また抗原特異的T細胞に対する抗原提示能はマクロファージより抗原特異的B細胞の方が高く、さらにRF産生B細胞が表面のリウマトイド因子(RF)を介して免疫複合体を取り込み種々の抗原をT細胞に提示できるという報告もある。昨年度より様々な病態のHIV感染者末梢血リンパ球を分離し、RF産生B細胞株の樹立を試みた。しかし、HIV患者からの安定したRF産生B細胞株の樹立が困難で、T細胞クローン樹立に至れないため、同時に抗原特異的免疫応答を高めることが可能な可溶性CD26分子を併用する計画を並行して進めた。HIV Tat蛋白は抗原特異的免疫応答を抑制し、CD26のdipeptidyl peptidase(DPPIV)活性を部分的に抑制する。そこでHIV患者リンパ球から抗原特異的T細胞を誘導する際にリコンビナント可溶性CD26を用いることは研究の目的からはずれていない。 本年度の成績:1)RF産生B細胞株の樹立:長期に安定した細胞株をとれた症例はなかった。昨年度と同様に、ウイルスの急性感染期のB細胞をEBVにてトランスフォームするとRF産生B細胞の出現頻度が高まった。 2)HIV患者T細胞の抗原刺激に対する可溶性CD26の影響:CD4陽性細胞が100以上の症例では抗原特異的なT細胞の増殖反応をさらにエンハンスさせた。しかしCD4陽性細胞が100以下ではその効果はみられなかった。 3)HIV患者におけるCD26のDPPIV活性:血清中の可溶性CD26のDPPIV活性がHIV患者では有意に低値を示しており、HIVにおける抗原特異的T細胞活性化障害の一因をなしている可能性が示唆され、リコンビナント可溶性CD26を用いることの妥当性を明らかにできた。
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