1997 Fiscal Year Annual Research Report
本態性高血圧症における血管運動中枢異常に関する研究
Project/Area Number |
08670515
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森瀬 敏夫 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (40191027)
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Keywords | 高血圧 / 血管運動中枢 / 心拍変動 |
Research Abstract |
「目的」本態性高血圧症の病因については脳幹に存在する血管運動中枢そのものに異常がある可能性に着目し検討した。「方法」本態性高血圧症患者(EHT)23名、二次性高血圧症患者(SHT)13名、正常血圧者(NT)46名を対象とした。MRTはT-2強調およびMRangioを用いて評価した。心拍変動のスペクトル解析は心電図からのanalogデータをA-Dconverter(I.O.data)を用いて500Hzでデジタル化したうえで記録し、連続した256心拍分を高速フーリエ解析にて検討した。以上のソフトウェアは国立石川高等工業専門学校堀田および申請者により作成された。「結果」血管運動中枢の圧迫はEHTでは23例中16(70%)例で、SHT患者では13例中一例もなく、NTでは45例中7(16%)例で認められ、血管運動中枢の圧迫はEHTで有意に高頻度であった(p<0.001)。交感神経の指標であるLow frequencyの年齢補正パワースペクトラムデンシティ(A-PSD)は血管運動中枢の圧迫を伴うEHTでは139.5±6.7%、血管運動中枢の圧迫のないEHTでは92.2±6.8%,血管運動中枢の圧迫を伴うNTでは102.8±13.0%、血管運動中枢の圧迫のないNTでは100.1±4.1%,SHT95.7±10.2%と血管運動中枢の圧迫を伴うEHTで有意に(p<0.001)高値であった。副交感神経の指標であるhigh-frequencyA-PSD(HF:0.15-0.40Hz)では各群間に差は無かった。「結論」EHTではSHT及びNTと比較して有意に高頻度に血管運動中枢の圧迫が観察された。血管運動中枢の圧迫は何らかのfactorにより交感神経活動の亢進を伴う場合とそうでない場合があり、亢進を伴うとき本態性高血圧症を発祥するものと推測された。
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