1996 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の発癌及び悪性化進展のメカニズムの分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
08670554
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
樫村 博正 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00194720)
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Keywords | 胆道系腫瘍 / Genomic Instability / 癌抑制遺伝子 / loss of heterozygosity,microsatellite instability |
Research Abstract |
胆道系腫瘍の悪性化進展メカニズムの分子生物学的検討 腫瘍の悪性化過程でLoss of Heterozygosity(LOH)とMicrosatellite Instability(MSI)の二つのGenomic Instabilityが増加する。LOHは癌抑制遺伝子の欠失を,また,MSIはDNAミスマッチ修復遺伝子機構の障害によっておこるreplication errorを意味する。 今回,胆道系腫瘍の悪性化進展過程とGenomic Instabilityの関与について検討した。[方法]胆道系腫瘍は病理医によって診断された。遺伝子マーカーは癌抑制遺伝子APC,p53,DCC及びDNAミスマッチ修復遺伝子と緊密に連鎖したマイクロサテライト遺伝子を用いた。HE染色したパラフイン切片より目的の腫瘍細胞のみをとり,DNA抽出後,マイクロサテライト遺伝子をpolymerase chain reaction(PCR)法により増幅した。各腫瘍は抗p53抗体(BP53-12)によって免疫染色された。[結果]胆嚢癌20例,胆管癌(肝内胆管癌,肝外胆管癌)24例について検討した。胆嚢癌及び胆管癌においてはp53癌抑制遺伝子の失活は免疫染色を用いた場合それぞれ60%、17%、また、LOHを用いた場合でそれぞれ35%、19%であった。MSIについて検討したところ、胆嚢癌及び胆管癌のMSIの頻度はそれぞれ、71%、26%であった。胆管癌のなかでも肝内胆管癌ではLOH,MSIともほとんど認められなかった。[結論]1.胆道系腫瘍において遺伝子の不安定化が関係していることが示唆された。2.胆嚢癌および総胆管癌においてはp53癌抑制遺伝子の失活がより関与していることが示唆された。3.今後,肝外胆肝癌と肝内胆管癌における悪性化進展のメカニズムの違いの検討が必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)