1997 Fiscal Year Annual Research Report
各種肝疾患におけるTelomerase活性とTelomere長の測定
Project/Area Number |
08670557
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今関 文夫 千葉大学, 医学部, 講師 (40223325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横須賀 収 千葉大学, 医学部, 講師 (90182691)
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Keywords | telomerase / telomere / hepatocellular carcinoma / TRAP assay / ultrasonegraphy guided liven biopsy / chronis hepatitis |
Research Abstract |
テロメアは染色体の末端にある繰り返し配列で細胞分裂のたびに短くなるが、一定の長さ以下になると細胞は死んでしまう。このテロメア長を維持するテロメラーゼ活性の発現により細胞の不死化が生じ、様々な悪性腫瘍でテロメラーゼ活性が高頻度に報告されている。我々は、昨年度、テロメラーゼ活性が肝細胞癌において22/26(85%)に見られ、腫瘍径、分化度によらず高頻度に見られることから、小肝細胞癌の診断に有用であろうと考え、今年度は超音波下狙撃肝生検により得られた28症例の腫瘍部(腫瘍径1.3〜3.3cm、平均2.2±0.5cm)と非腫瘍部におけるテロメラーゼ活性を定量的に測定した。正常肝6例の平均テロメラーゼ活性は0.8±0.6単位であった。腫瘍部のうち組織学的に癌と診断された25例の平均テロメラーゼ活性は133.7±197.3単位、境界病変と診断された3例は11.7±11.3単位、非癌部の平均テロメラーゼ活性は4.5±7.5単位であった。Edomondson分類別に見ると、I、II、III、IVで各々69.7±107.1,208.8±282.9、119.3±174.6、144.6±80.2単位であった。正常肝の平均テロメラーゼ活性の2SDをとって2.0単位以上を陽性とすると癌部では24/25(96%)、境界病変は3/3(100%)、非癌部12/28(43%)が陽性であった。また非癌部の平均テロメラーゼ活性の2SDをとって 19.5単位以上を異常高値とすると、癌部では、19/25(76%)、境界病変は1/3(33%)、非癌部1/28(4%)であり、癌部、境界病変のうち陰性であった8例も全例対応する非癌部よりは高値であった。従って、超音波下狙撃生検による小肝細胞癌の診断にテロメラーゼ活性の定量的測定は有用であると考えられたが、境界病変に関してはさらに症例数を増やし、その経過を含め検討する必要があると考えられる。
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