1996 Fiscal Year Annual Research Report
K-ras突然変異特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた膵臓癌の遺伝子治療
Project/Area Number |
08670569
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
斎藤 清二 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (70126522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 清博 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00135021)
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Keywords | 膵臓癌 / 遺伝子治療 / K-ras遺伝子 / 点突然変異 / 培養細胞系 / アンチセンスDNA / シリアンハムスター / リポフェクション |
Research Abstract |
1)アンチセンスの導入によるK-ras遺伝子転写の抑制、蛋白合成の抑制と腫瘍増殖能への影響-in vitroでの検討- 我々が樹立した3種を含む8種のヒト膵癌由来培養細胞系およびハムスター実験膵癌由来培養細胞系の各々のK-ras遺伝子の塩基配列に基づき、変異型と野性型K-rasに各々対応するアンチセンスヌクレオチドを合成し、in vitroにおいてリポゾーム法を用いて腫瘍細胞に導入し、MTTアッセイにより増殖を、RT-PCR法によりmRNAへの転写を、ウエスタンブロット法によりrasP21蛋白の発現について検討した。その結果、突然変異特異的なアンチセンスヌクレオチドは、K-ras遺伝子転写と蛋白合成を抑制し、その結果腫瘍増殖を突然変異特異的に抑制することが証明された。 2)in vivoモデルにおけるK-ras突然変異特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド投与による遺伝子治療の検討 Lac-Z geneを導入したハムスター由来膵臓癌細胞を摂取された同系ハムスターに、K-ras突然変異特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、in vivoにおける突然変異特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの腫瘍抑制効果を検討した。ハムスター皮下に移植されたheterotropic graftに大して、突然変異特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを直接投与すると、腫瘍増殖は有意に抑制され、担癌動物の生存期間も有意に延長した。ハムスター膵臓に委嘱されたorthotropic graftに対して、腹腔内にアンチセンスをリポゾームとともに投与することにより、肝臓、肺臓に対する転移が有意に抑制された。 結論:K-ras突然変異特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドは膵臓癌の増殖を抑制し、臨床応用の可能性が示唆された。
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