1996 Fiscal Year Annual Research Report
グアニリン産生細胞の免疫学的、分子生物学的同定とその生理作用の研究
Project/Area Number |
08670578
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成瀬 達 名古屋大学, 医学部, 講師 (50180550)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 園子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (20096952)
|
Keywords | グアニリン / プログアニリン / 免疫組織化学 / 内分泌 / 受容体 / オートラジオグラフィー / 消化管 / 腎臓 |
Research Abstract |
大腸菌の熱耐性エンテロトキシンに類似の構造をもつペプチド、グアニリンの産生細胞を同定するために、ヒトのプログアニリンのN端フラグメント(1-15)を化学合成した。サイログロブリンまたはKLHとコンジュゲートした合成ペプチドを抗原として、家兎に免疫し、プログアニリンN端フラグメントに特異抗体を得た。本抗体を用いて、プログアニリン産生細胞を免疫組織学的に検索した。本抗体によりヒトの胃および十二指腸の基底膜顆粒細胞が免疫染色された。この反応は、抗体に合成フラグメントを添加することにより完全に吸収された。ヒトと同様にラットでも、消化管の内分泌細胞が特異的に染色された。同一切片における二重染色によりプログアニリン陽性細胞はセロトニンを含有せず、ソマトスタチンを含有することから、D細胞であると推定された。グアニリンの受容体および標的細胞を同定するために、ラクトパーオキシデ-ス法により、^<125>I標識グアニリンを作成した。標識グアニリンのラット小腸粘膜標本に対する結合実験からグアニリンは耐熱性エンテロトキシンと同等の解離定数(約10^<-6>M)をもつことが判明した。この標識グアニリンをラットに経静脈的に投与し、in vivoオートラジオグラフィーを行った。最も放射活性の取り込みの高い臓器は腎臓であった。消化管では杯細胞からの粘液の分泌と粘膜下組織の浮腫を認めた。一方、腎臓では近位尿細管上皮からの取り込みと、集合管の主細胞からの尿中への排泄ならびに利尿効果が形態学的に認められた。以上の成績から、グアニリンは、当初考えられたいたように消化管の管腔内に分泌されるだけでなく、パラクラインホルモンとして消化管粘膜における水の吸収と、内分泌ホルモンとして腎臓における尿生成の調節に関与している可能性が考えられた。
|