1996 Fiscal Year Annual Research Report
Helicobacter pylori産生サイトトキシンの胃粘膜における意義
Project/Area Number |
08670611
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60145779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40285292)
樋口 和秀 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20218697)
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Keywords | Helicobacter pylori / サイトトキシン / 胃粘膜 / サイトカイン / 胃潰瘍 |
Research Abstract |
Hp産生サイトトキシンの胃粘膜上皮細胞増殖に与える影響をヒト胃粘膜培養細胞(KATOIII)を用いたin vitroの実験系で検討を行った。サイトトキシンは患者の内視鏡下生検材料よりHpを分離培養し、液体培地に変換した後培養上清液より70Kda以上のものを精製した。胃粘膜培養細胞に代表的な細胞増殖因子であるEpidermal growth factor (EGF)および種々の用量のサイトトキシンを添加し、細胞増殖をbromodeoxyuridine uptakeで、細胞障害性をFast green dye exclusion testにより評価した。EGFは用量依存性に細胞増殖を刺激したが、細胞傷害を惹起させない用量のサイトキシンはEGF刺激による細胞増殖を有意に抑制した。次に、その機序を解明するために[^<125>I]-EGFを用いてレセプター結合実験を行った。胃粘膜培養細胞はEGFレセプターを有し、サイトトキシンは[^<125>I]-EGFの細胞内へのinternalizationに影響を与えずに細胞表面のレセプターへの結合を抑制することが明らかとなった。すなわちこれらのことからHp産生サイトトキシンがEGFのそのレセプターへの結合を抑制し、胃粘膜上皮の増殖を抑制することが、HPによる胃粘膜傷害発生機序ならびに潰瘍治癒遷延機序の一つとして示唆されることが解明された。
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