1997 Fiscal Year Annual Research Report
重症肝障害・多臓器不全におけるマクロファージ機能:遺伝子工学的アプローチ
Project/Area Number |
08670612
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 茂樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50244710)
植村 正人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90151836)
菊池 英亮 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50214747)
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Keywords | エンドトキシン / アルコール / 急性肝不全 / 肝硬変 / マクロファージ / TNF |
Research Abstract |
平成9年度にはガラクトサミン(GalN)投与急性肝不全ラット、チオアセタマイド投与肝硬変ラットにおいて、末梢血単核球、Kupffer細胞、脾マクロファージ、肺マクロファージのTNF産生能をサイトカイン放出能とmRNAレベルにおいて検討した。上記4種類のマクロファージ系細胞をラットから採取して、同数、同条件で培養すること、さらにmRNAを同量採取することが予想以上に困難であったため予備実験に多大の労力を要した。 年度末にようやく実験条件が安定したためサイトカイン放出能の基礎値を比較したところ、肝障害モデルラットではKupffer細胞のTNF産生能が低下する一方で、脾マクロファージ、肺マクロファージのTNF産生能が亢進していることを見いだした。これは従来より検討してきたエンドトキシンの体内動態の成績に呼応するものであり、重症肝障害時にはKupffer細胞機能低下に伴い、他臓器のマクロファージ機能が代償的に亢進しており、エンドトキシン血症に際し、脾マクロファージ、肺マクロファージが過剰にTNFを産生し、多臓器不全を導く可能性が示唆された。現在、エンドトキシン刺激時のマクロファージのTNF産生能、mRNAレベルでの解析を進めており、一定の成績が得られた時点で、他のサイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-8)産生、エンドトキシン投与多臓器不全モデルでの検討に移りたい。
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[Publications] 福井博: "肝硬変とエンドトキシン" 肝胆膵. 35. 325-334 (1997)
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[Publications] 北野浩行 他: "アルコール投与ラットのエンドトキシン処理機構" アルコールと医学生物学. 17. 180-183 (1997)
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[Publications] 北方一成 他: "ガラクトサミン(GaIN)急性肝不全におけるKupffer細胞および膵macrophageの機能とアポトーシス" 肝類洞壁細胞研究の進歩. 10. 44-47 (1997)