1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌に対するマイクロ波凝固療法の基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
08670617
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
川本 智章 自治医科大学, 医学部, 講師 (30169776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂積 正則 自治医科大学, 医学部, 助手
磯田 憲夫 自治医科大学, 医学部, 助手 (30275680)
井戸 健一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (80112621)
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Keywords | 肝細胞癌 / マイクロ波凝固療法 |
Research Abstract |
1.臨床的研究 (1)画像による治療評価方法の確立:肝細胞癌に対するマイクロ波照射後のMRI画像は、治療からの期間などによって様々なパターンを呈するため、T1強調画像やT2強調画像で特徴的な所見を見い出すことは困難であった。しかし、dynamicMRIではいずれの時期に撮影しても治療部位は低信号を呈した。また、腹部CTでも治療部は低吸収域を呈した。即ち、治療部の血液消失を目安にすることによって画像診断で判定が可能であると考えられた。現在のところ、その簡便性から考えて、腹部CTが治療評価に最も有用であると考えられる。 (2)病理組織像による治療評価の確立:マイクロ波照射後、HE.染色でviableの所見を呈しても既に非可逆的な組織障害が起っており、機能的には細胞死の状態になっていることが判明した。電子顕微鏡を用いた観察によると、細胞内小器官に形態学的な変化がなくとも、ミトコンドリアのcytochrom c oxidaseの失活が認められた。従って、治療後の病理組織学的判定にH.E.染色は有用ではなく、cytochrom c oxidaseを用いた組織化学的な検索を行う必要があると考えられた。なお、PAS染色を用いたグリコーゲン生成の有無や渡銀染色を用いた類洞の好銀線維の虚脱の有無をみることが細胞死の判定の参考所見になると考えられた。 マイクロ波による凝固壊死過程では、まず、ミトコンドリアのcytochrom c oxidase活性の失活がおこり、形態学的に変化がなくとも細胞死に陥るものと推定された。 2.基礎的研究 (1)安全性の確立:出力が50W2分間の場合、電極の先端が門脈や肝静脈より2mm離れていれば、血管内皮細胞の脱落を認めても血管壁の構造はほぼ保たれ、血栓を形成することなく安全にマイクロ波を照射することが可能であった。また、同じ条件の場合、胆管や動脈の変化は乏しかった。従って、脈管を穿刺しなければ、血管及び胆管より2mm離れていれば安全にマイクロ波を照射することが可能であると考えられた。 (2)マイクロ波凝固後の肝組織:マイクロ波を照射したイヌの肝組織は、電極刺入部が炭化壊死層となり、その周囲では肝細胞が密に凝縮した層となり、さらにその外側には類洞が著明に拡大した層が認められた。肝細胞が密に凝縮した層は、マイクロ波照射直後には組織学的にviableと考えられた。しかし、経時的に観察すると同部位は凝固壊死層へと変化していった。 (3)MRI画像の経時的変化:マイクロ波照射直後に摘出したイヌの肝臓のMRI画像は、上記肝組織に対応した所見が得られたが、摘出肝では生体と異なり血流がないため、臨床で得られる画像との対比が困難であった。また、臨床的には一個の腫瘍に対してマイクロ波照射を何回か行うため、イヌの肝臓を用いた場合と異なり、得られる画像が複雑となり、単純には基礎的データとの比較が困難であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ido Kenichi et al.: "Laparoscopic microwave coagulation for solitary hepatocellular carcinoma performed under laparoscopic ultrasonography." Gastrointestinal Endoscopy. 45. 415-420 (1997)
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[Publications] 川本智章 他: "肝癌の局所治療に挑む;肝細胞癌に対するマイクロ波凝固療法-内科サイドから-" 消化器内視鏡. 10. 1341-1348 (1997)
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[Publications] 井戸健一 他: "肝細胞癌に対する超音波腹腔鏡下マイクロ波凝固療法(LMCT)" 消化器内視鏡. 8. 1711-1717 (1996)
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[Publications] 川本智章: "消化器内視鏡のコツと落し穴-肝・胆・膵-" 中山書店, 126-127 (1997)